「カトリーナ」と米先物市場

 米南部を襲った同国史上最大級のハリケーン「カトリーナ」が米国経済に与える影響が懸念されているが、先物市場では有事に備えた投資家の動きが非常に活発で、記録的な大商いを見せている。

 先ず世界最大のエネルギー先物取引所のニューヨーク商業取引所(NYMEX)。8月30日の全出来高は138万枚と過去最高を更新した。それまでの最高(8月11日の120万枚)を大幅に塗り替えた。原動力は原油先物とガソリン先物で、いずれも高値更新。

 シカゴ商品取引所(CBOT)では2年もの米財務省証券先物の出来高が約34万枚と記録を作った。前回は5月27日に付けた29万枚だった。金利動向に鋭く反応する商品だ。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)ではユーロダラー先物の出来高が30日、約230万枚と前日の100万枚から倍増した。ユーロダラー先物は世界で最も流動性の高い商品で、金利変動を映し出す指標として投資家に使われている。

 先物市場の活況は投資家がエネルギー市場の動向に大きな関心を見せているだけでなく、ハリケーンの影響で金利政策に変化が生じるかどうかに強く注目していることを示している。米金融当局はインフレ懸念から小刻みな金利引き上げ方針を継続しているが、経済への影響を考慮して微調整するのではないかとの観測が出ている。

 誰かの本の題名ではないが、「先物市場を見ていれば、経済の先行きが分かる」。先物市場は人間のさまざまな経済行動を貪欲に吸収し、それを先取り的に価格という形で反映する市場だ。もちろん、きちんと機能すれば話だが。米国の先物市場の動きから目を離せない。

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