「定年後の居場所を創る」
自慢じゃないが、「団塊の世代」である。第二次大戦直後の1947-49年生まれ。680万人と総人口の約5%を占めるとか。別に頼んで、その時代に産んでもらったわけでもないのに、勝手に名付けられて、むしろ迷惑している。
世の中がこの「団塊の世代」をちやほやしているのはわれらの世代が受け取るであろう退職金を狙っているからだそうである。数10兆円に上るというのだから、大変な額である。何でも、数の力というのは大変なものである。人口13億人の中国の存在が脚光を浴びるのも当然である。実に恐ろしい数だ。
「団塊の世代」を当て込んだ事業やビジネスがあちこちで花盛りだ。「北海道移住フォーラム」(日経主催、10月8日、東京・大手町の日経ホール)と銘打った催しも要はその1つだろう。「定年後の居場所を創る」と題して基調講演したのはノンフィクション作家としてよりも、最近では定年評論家としてのほうが名高い加藤仁氏。彼の述べたポイントは3つ。
①自分の好きなことに徹底的にこだわること。そこから何かが開けてくる。
②自分の好きなことを一点突破していく。そこを基点に収入や健康、生きがいを考えていく
③そこで暮らす自分の役割を見つける
4人のパネリストたちは定年後の移住先として北海道の魅力を思い入れたっぷりに語ってみせたが、どこで住みたいかは人それぞれ。どこで住もうと、問題はいかに精神的に豊かなI生活を送れるかだろう。文字通り、生き方の問題だ。定年後の生き方について考えさせられたフォーラムだった。