「人と防災未来センター」

 阪神・淡路大震災記念「人と防災未来センター」(神戸市中央区脇浜海岸通1-5-2)には度肝を抜かれた。建物の立派さもそうだが、震災のものすごさを肌身で感じられるからだ。震災の2ヵ月後に自分の目でも現場を見たつもりだったが、改めてそのすさまじさを体感した。

 センターは「防災未来館」と「ひと未来館」の2つの施設で構成されている。それぞれ見るのに最低1時間は必要で、取りあえず、防災未来館だけを見た。何がすさまじかったかというと、やはり、「1.17シアター」だ。

 1995年1月17日午前5時46分に何が起こったか。地震発生により、崩壊していくビルや高速道路などの様子をCGを使って迫力ある大型映像で映し出す。震災直後の街並みもジオラマ模型で再現。大震災ホールでは震災から復興に至る街と人の姿を、これまたドキュメンタリー映像で紹介している。

 ユニークなのは「震災を語り継ぐコーナー」。震災に係わった人々が語り部として自らの被災体験を生で来館者に語る趣向だ。ビデオでも体験がふんだんに紹介されるなど、震災を風化させないとともに、今後の防災のあり方も考えさせる試みだ。日本人なら必見の施設ではあるまいか。

 日本は地震王国。どこに行っても地震から逃れられない。いつ、どこで、地震に遭うか分からない。いつ、どこで、地震に遭っても少しも不思議ではない。阪神・淡路の震災は全く、他人事ではないのだ。いつ、自分の問題として降り掛かってもおかしくないのだ。

 神戸にとっては消そうにも消えない歴史だ。「震災を契機に何もかも変わった。震災後は震災前とは違う時間が回り始めた」のだろう。震災は新たな原点になった。神戸を考える場合、震災体験が新しいバックボーン。未来を志向して生き抜くためにはこの骨が必要だ。

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