「のじぎく兵庫国体」

 第61回国民体育大会の開会式が9月30日(土)、神戸市須磨区のユニバー記念競技場で行われ、特別招待者として参加した。選手たちを歓迎し、式典を盛り上げる役割と心得、しっかり拍手に努めたつもりだ。会期は10月10日まで。

 県花を取り入れて「のじぎく兵庫国体」と銘打たれた国体が兵庫県で開催されるのは50年ぶり。こちらに転勤して5カ月だが、この県を知る上で、様々なイベントが繰り広げられる国体は格好の機会だ。

 兵庫県は昔、5国(摂津、播磨、但馬、丹波、淡路)で構成されていた。オープニングプログラムではこれら但馬、丹波、淡路の伝統芸能が披露されたが、地域性を反映していて興味深かった。

▼摂津=神戸と阪神間の尼崎、西宮、宝塚、川西、三田市などを含む、大阪府に隣接する県 南東部。面積は県全体の15%だが、人口は60%を占める。六甲山系の南側に広がる大都市部と北側の田園地帯が共存し、街・港・山・歴史、さまざまな魅力が凝縮されたエリア。

▼播磨=日本標準時を刻む子午線の通る明石市から、姫路市、たつの市、相生市、岡山県に隣接する赤穂市を含む県南西部。北は宍粟市、多可町まで。世界文化遺産の姫路城をはじめ、「忠臣蔵」の赤穂、小京都と呼ばれる龍野など城下町が多い。

▼但馬=県最高峰の氷ノ山をはじめとする1000m級の山々と日本海に囲まれた、豊岡市、朝来市、養父市、香美町、新温泉町エリア。城崎温泉、湯村温泉などの名湯や但馬牛、松葉カニなど、海の幸の本場。

▼丹波=丹波市と篠山市からなる地域。マツタケ、丹波栗、黒豆など農産物が豊富で、阪神間に100km圏内の農村部。

▼淡路=淡路、洲本、南あわじの3市から成る瀬戸内海最大の島。日本書紀や古事記にも登場し、「国生み神話」が今も伝えられる。

 兵庫県は但馬、丹波、淡路、摂津などの田舎および準田舎と大都市圏の攝津とが混合した県。その摂津も兵庫区を中心に平氏の史跡がたくさん残るなど深い歴史をかいま見せる一方で、神戸市は朝鮮、中国、インドなどからの移民も多く、開放的な国際都市の側面も持つ。とにかく何でも揃っているのが兵庫県というのが私の印象だ。

 運動に才能がなかったこともあって、これまで国体に関心を持ったことは全くなかったが、競技はともかく、これだけイベントはやはり見ごたえがある。お祭りである。スポーツイベントしてのニュース価値はかつてに比べ、大きく低下しているものの、それでも国体である。天皇・皇后両陛下が臨席されるというのは大変なことではある、ということを実感した1日だった。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.

神戸日誌

Previous article

オルセー美術館展
神戸日誌

Next article

吉野家「牛丼」