兵庫県・大阪府の境を歩くⅤ
途方に暮れてばかりでも芸がないので現地で考えることにした。とにかく最終目的地までたどり着くのがまた一苦労。阪急花隈駅→西宮北口→宝塚→川西能勢口。そこから今度は能勢電鉄に乗り換え日生中央駅に着いたらもう午後2時だった。
とにかく目指すは町役場。この猪名川町は滅法広い。しかも持っているのがアバウトな地図だから大変だ。やっとさ町役場にたどり着いた。ガードマン氏によれば、昔は役場の辺りが猪名川町の中心で、商店街もあったという。今はかすかに面影があるだけで、中心はむしろパークタウンといわれるニュータウンに移ったとか。ジャスコの大きな建物が遠くに見えた。ベッドタウンの宿命か。
がードマン氏に教えてもらったのが役場のすぐ裏手にあった「静思館」。猪名川町で最も大きな民家を町が譲り受け文化施設として保存している。里山の風景にすっぽりと抱かれたような茅葺の家。昔ながらの間取りで、ひどく落ち着く。静寂の支配する空間をしばし楽しんだ。
川西と篠山を結ぶ県道沿いをテクテクと歩いた。道の駅・いながわで腹ごしらえ。十割そばが名物とかで、それをいただいた。地元の造り酒屋「川辺酒造」の煙突や屏風岩を眺めつつ北上。町立ふるさと館で日没時間切れ。どうにもならず、阪急バスで日生中央駅にすごすご戻った。
それにしても、歩道は狭く、ないところも多い。車がひっきりなしにびゅんびゅんと追い越し、もう人は歩く動物ではない。いつか石油危機が再来したときにはどうするつもりなのだろう。ガソリンが手に入らなくなったら、車は粗大ゴミ同然なのに・・・。そんなときはもう二度と来ないと誰も信じているのではなかろうか。あな、恐ろしや。