『蝶々夫人』


 
 佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ『蝶々夫人』を兵庫県立芸術文化センター大ホールで鑑賞した。2006年7月に行った公演のリバイバル再演だ。初演は神戸着任直後だったこともあって観られなかったので、今回が初鑑賞。

 あまりにもお馴染みのオペラだが、きっちり観たのはこれが初めて。19世紀末の長崎が舞台の日本の悲劇。イタリア語上演だったのだが、舞台の両サイドに日本語の字幕が用意されたので、一語一語がしっかり理解できた。オペラも進化しているようだ。

 演出は栗山昌良氏。全3幕で、第1幕と第2・3幕の間に25分間の休憩を含んで公演時間は2時間55分。本当にたっぷりとオペラの世界に浸った。セットの美しさはこれまでも分かっていたが、イタリア語上演では内容がチンプンカンプンでお手上げだった。それが今回解消した。

 第2幕が始まって間もなく蝶々さんが歌う「ある晴れた日に」はやはり単純に良かった。ピンカートンの帰りを3年間も待ち続ける日本人女性のひたむきな純真さといじらしさを感動的に歌い上げる。こんな女性は今や存在しないだろうが、なかなかのモノである。

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