新人画会展

 東京都23区内で初めて区立美術館を開館したのが「板橋区立美術館」。1979年(昭和54年)5月20日のこと。場所は板橋区赤塚5-34-27.赤塚城址公園や郷土資料館が近くにあり、板橋区の中でも落ち着いたところだ。

 江戸狩野派を中心とした近世絵画や大正から昭和前期の前衛美術、板橋区ゆかりの作家を中心とした作品を収蔵しているが、有名なのは「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」。区立の美術館としてはユニークな試みとして知られる。

 ちょうどやっていたのが「新人画会展」戦時下の画家たち-絵があるから生きている-。第二次世界大戦下の画家たちの活動を紹介するもの。愛光、麻生三郎、糸園和三郎、井上長三郎、大野五郎、鶴岡政男、寺田政明、松本竣介の8人が1943年に結成した「新人画会」の3回にわたる展示会活動を紹介している。

 正直、絵に造詣のない私にはほとんど馴染みのない画家ばかりだったが、戦時中は時局にそぐわない絵を描くと、当局の検閲に引っ掛かることを覚悟しなければならなかった。実際、「敗戦的」との理由で展覧会への出展が認められなかった作品もあったという。

 表現の自由を謳歌している今の時代に住む者には想像しにくいが、そういう時代がこの国にもかつてあったし、今もそれが続いている国もあることは知っている。「表現の自由」を享受できているということは大変なことである。

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