スポーツクラブ考

 スポーツクラブに再入会した。昨年夏、神戸から戻ってきたときに一度入会したが、定年退職を挟み仕事が3カ月ごとにクルクル変わり、しかも勤務時間もコロコロ動いたので生活ペースがつかめなかった結果、クラブ通いも秋以降、休止していた。

 今年1月から3度目の職場。よほどのことがない限り、しばらくは腰を落ち着けそうと見定めての再入会。個人的には退職後の「静かな生活」を気に入っているが、変調を起こしたのは身体のほう。あまりに単調すぎて、切れを失った。これまでも切れがあったとは思えないが、これはあくまで気分。この気分が盛り上がらないのは困る。

 問題はどこのクラブにするかだった。自宅近くにするか、それとも、これまでのように、職場と自宅の中間地点にするかの選択。考えてみれば、自宅近くのほうが休日にも通えるし、運動をした後すぐに家に帰れるので便利そうにも思えた。

 実際、自宅近くに新しく開業したクラブも見学したものの、最終的に決めたのはこれまで通っていた都心のクラブ。人混みをかき分けて雑踏の中を通わなければならないし、途中に何かと誘惑も待ち構えているので、「静かな生活」を志向する者にはふさわしくないのではないか。

 そこで、思い至ったのが情報への欲求。たくさんの人がうごめきあったり、騒々しいアナウンスやけばけばしいネオンサイン、さまざまな店舗や商店のショーウインドウ。けたたましい音楽、人の声などなど。都会は喧騒にあふれているが、その喧騒もまた情報なのではないか。この情報を身体が求めている。その結果が都心を選択させたのではないか。

 都会は思いも掛けない情報に接することのできる確率も平穏な郊外よりも格段に高い。面白く、エキサイティングなモノに遭遇するチャンスはものすごく多い。逆に凶悪な事件に遭う確率も当然のことながら高くなるが、それはそれで貴重な情報と思えなくもない。もちろん、秋葉原のような通り魔事件は願い下げだが・・・。

 都心でも、そういった特異な事件に遭遇することも、取って置きの情報にぶつかることも現実にはそんなにないかもしれない。しかし、それでも何か、日常性とは離れたヒト・モノ・コトに出会える偶然は郊外に比べて限りなく高いのは事実だ。

 こんなことを考えながら、都心のスポーツクラブ通いを再開した。取りあえず、きのうとは違った身体の引き締まりを感じている。気分が爽快である。重要なのはこの気分の爽快さのような気がする。気分さえ良ければ、何かに取り組もういう気にもなるのだから。

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