中国、外貨準備運用多様化の一環でも対外資源投資

 独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」(JOGMEC)のブリーフィングに出席した。毎月開かれているもので、石油天然ガスに関する最新動向を知ることのできる貴重な説明会だ。何と言っても無料なのが嬉しい。いずれも専門的なテーマで、出席者もその方面のエクスパートばかり。

 毎回、2時間という短い時間のうちにさまざまなテーマについて最新情報が提供される。この日のトピックスは①イラク石油開発の動向と今後の見通し②実態に即して改訂されるSEC(米証券取引委員会)基準③掘削技術の進歩④中国:国をあげて石油資源調達へ⑤リビア:古い契約を新契約方式に変更-の5本。

 「中国の石油資源調達」は興味深かった。中国政府が国をあげて資源調達に乗り出す背景の1つはエネルギー安全保障のため。毎年10%近い経済成長を達成し続けるためには石油資源の安定的確保は前提条件だ。13億人の胃袋を満たすためには10%成長は最低限必要で、それが達成できなければ社会の安定を維持できない。国内油田の生産がピークを過ぎた以上、何が何でも海外から輸入し続けなければならない事情を抱えている。

 もう1つの理由として挙げられたのが外貨準備の運用多様化。中国は世界最大の外貨準備保有国で、約2兆ドルに上るという。金融危機後、国内で効率的な運用や価値保全を求める声が高まっているという。そうした声を受けた形で、外貨準備が国外資源投資に適用されようとしている。

・2009年2月、中国の政策投資銀行である国家開発銀行がロシア国有石油会社Rosneftとパイプライン企業のTransneftに総額250億ドルの融資を行うことで基本合意した。

・同月、国家開発銀行はブラジル国営石油会社Petrobrasと最大100億ドルの融資を行うことについて覚書を交わした。

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