丸善日本橋店

 日本橋に行くと、必ず立ち寄るのは丸善。2階のビジネス書フロアの「ファイナンス」コーナーに直行する。このブログ名を冠した『先物ビッグバン』がまだ棚にあった。
 前回ここへきたのは6カ月ほど前。そのときも書棚をのぞいて、自分の本があることを確認した。1999年6月出版だからちょうど丸10年前だ。毎日何千という新刊書が出版され、あっという間に次の新刊書にスペースを奪われていく出版事情の中で、今なお書棚を維持しているというのは奇跡以外の何者でもないのでないか。
 専門書ということもあるが、先物業界も様変わりしている。本は日本の商品先物業界の課題を指摘し、市場が一日も早く生まれ変わって、本書の寿命が短くなったとすれば、著者の本望だと書いたが、書棚に並んでいること自体、業界が10年前と実態的に同じ問題を抱えていることを示しているのではないだろうか、とつい考え込んでしまった。嬉しいような悲しいような、変な気分である。
 丸善は今でこそ東京駅・丸の内オアゾに本店が移ったが、元々はこの日本橋が本店だった。今年で創業140年の老舗。改装されるまでは書籍売り場(洋書除く)はジャンルを問わず、1階に集まっていた。結構広く、よく使わせてもらった。
 テーマや問題の切り口などで行き詰まったときなどは売り場をうろつきながら、考えを引き出そうとしたものだ。追い詰められていたから、本のタイトルを眺め、これはと思う本はペラペラめくりながら、何とか着想を得ようと必死だった。いろんなジャンルのコーナーを回りながら、思考を巡らせた。
 意外とそういうときに天から啓示が降りてくるものである。求めよ、さらば与えられん、である。強く、深く欲求すれば、道は開けるとの確信はそこから得た。これからも、そういう必死さに直面することが果たしてあるのだろうか。

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