『そして、私たちは愛に帰る』
監督・脚本:ファティ・アキン
撮影:ライナー・クラウスマン
音楽:シャンテル
2007年 ドイツ・トルコ映画
ヨーロッパには現在420万人のトルコ人が住んでいる。最も多いのがドイツの270万人。ほとんどは1960年代からの出稼ぎで、そのまま現地に残り、それに難民たちが加わった。大きなコミュニティーが出来上がっている。50年間も一緒に住みながら、双方の間には壁がある。宗教的、文化的な壁だ。
ハンブルグで大学教授を勤めるドイツ人の息子と、その息子を男手ひとつで育て上げ、余生をトルコ人の娼婦と過ごすドイツ人の父。反政府活動家としてトルコを逃れ、母の住むドイツに密入国するトルコ人娼婦の娘と、彼女と偶然に出会い一緒に暮らし、トルコに強制送還された彼女を救うため単身トルコに渡ったドイツ人の娘。その娘の身を案じながらも愛情を伝えられないドイツ人の母。
運命に導かれるままにめぐり合い、別れ、そしてつながっていく3組の親子の姿を追う再生への道を探った映画。アキン監督はトルコ系移民2世で1973年生まれの35歳。移民問題、EU加盟問題など東洋と西洋の入り混じる国トルコ。考えさせる作品である。飯田橋ギンレイホール。