アマルフィ

 織田裕二主演の映画『アマルフィ』を観た。ユナイテッドシネマとしまえん。新保裕一書下ろし小説を映像化したサスペンス映画。フジテレビ開局50周年記念ということもあってオールイタリアロケを敢行した意欲作だ。

 アマルフィは首都ローマから南に約200km、切り立った断崖絶壁に張り付くように密集した街並みが美しい高級リゾート地。アマルフィ海岸として1997年に世界遺産の認定を受けた。かつてピサ、ジェノバ、ベネツィアとともに、4大海洋共和国として栄えた。50キロ北にはナポリがある。

 織田裕二演じる外交官・黒田康作は外務省の命を受け、邦人をテロから守るため、イタリアに派遣され、誘拐された少女の母親(天海祐希演じる矢上紗江子)と行動をともにしながら、イタリア警察と連携を取りつつ、誘拐犯との交渉を進めていく。

 現場はローマから、そしてアマルフィに。誘拐犯の意外な動機と事件の深刻な背景が背後に埋め込められ、観光映画ではない、それなりに見ごたえのある作品に仕上がっていたが、黒田・矢上の感情的葛藤に重きが置かれすぎ、事件を起こさざるをえなかった誘拐犯の心象風景、それを呼び起こした川越外相(平田満)がかつて犯した政策決定の誤りに対する切り込み不足にがっかりするのは、無いものねだりか。

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