『米国農業革命と大投機相場』

書名:『検証米国農業革命と大投機相場』
著者:増田篤
出版社:時事通信社(2010年6月5日)

 時事通信社外国経済部デスクの増田篤記者が特派員としてシカゴに赴任した4年2カ月間(2005年1月~09年4月)の取材ノート。バイオ燃料としてエタノールブームが爆発し、それが突如冷えていく過程を現地で目の当たりした。

 その延長で2008年には歴史的な穀物相場の高騰にも直面する。高騰を主導したのは商品指数ファンドで、食料は完全に投機の対象と化した。金融市場で過熱した投機はリーマン・ショックを生み、世界を大不況・大混乱に陥れた。

 金融危機は最悪期を脱したものの、マネーの奔流を阻止するため、欧米各国の金融当局は市場規制の強化に向っている。市場原理主義がもたらした行き過ぎへの反動だ。同じ市場でも金融市場のウォール街と穀物の現物市場と先物市場を併せ持つシカゴから見れば、見え方が異なる。恐らく双方から見るのが全体像を捉えるためにはベストなアプローチのはずだ。

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