民主党が嫌いになっていく

 民主党政権が段々と嫌いになっていく。個人的にはリベラルな中道左派的志向が強く、自民党”永久”政権時代には常に社会党に投票していたが、いざ実際に中道左派の鳩山政権が誕生してからは、むしろ民主党政権で本当にいいのか、という疑問が逆に強まる一方なのだ。

 「右」とか「左」とか言っても、何を基準に、何を「中央」とするのかがはっきりしないのでは議論しても無意味だ。しかし、「反権力」ならはっきりしている。権力を握る勢力に対して異を唱える傾向が強い。自民党が政権を握っていたときは反自民、民主党に政権が移れば、反民主だ。主流派には媚びない反骨精神と言えば格好良いが、世間の潮流を読めない天の邪鬼という見方もできる。

 難しいところは反民主=親自民ではないことだ。自民党もひどかったからだ。7月の参院選挙の結果は見事にそれが出た。民主が沈み、自民はやや復活、「みんなの党」が受け皿になった。絶妙の民意である。

 60年以上も生きてきて、これまで明確な支持政党がなかったこと自体がおかしいことだと思う。信頼できる政党を持てなかったことは決して幸福ではあるまい。むしろ、不幸なことだと思う。国の将来をしっかり託すに足ると信じられる政党が不在な国の将来に希望なぞあるはずがないからだ。

 はっきり言って、まだ好きな政党はない。それなのに、嫌いな政党ははっきりし始めた。民主党である。最初はそんなに感じなかったが、政権担当時間が長くなるに従って、嫌悪感が募る一方だ。好きになれば、あばたもえくぼだという。好きな部分ばかりがクローズアップされ、マイナス情報は遮断されるからだ。とても合理的、科学的とは思えない。

 果たして、これは人間の宿命と片付けてよいのか。良いはずがないのは分かっている。分かっていてもどうしようもない。好悪の感情がはっきりし始めたのは老化したことの証しなのかもしれない。それで手を打つしかない。

 そう思いながら、なぜ、民主党を嫌いになってきたのか、自分で考えた。政権交代時から1年近く考えてきた。「これはちょっと許しがたいな」と自分が腹の底から感じたことを思いだしている。きっかけは日韓併合100年に関して10日に出された菅直人首相談話。

■日韓併合100年首相談話

 談話は「韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷つけられた」と明記した。首相は記者会見で、「補償問題は解決済み」との立場は変わらないと強調したが、韓国側から「謝罪するなら、その気持ちを形で表してくれ」と言われば、どうするのだろう。

 韓国側は竹島の領有権を主張している。日本側は竹島は日本固有の領土という立場を崩していないが、既に韓国側は竹島に固定構造物を建設するなど、竹島を物理的な支配下に置いている。謝罪を形で表すためには竹島の領有権放棄を迫ってくればどうするのか。それとも、既に諦めているのだろうか。

 北京発時事電によると、11日付の中国紙・新京報はさっそく評論で、「日本の植民地支配で傷つけられたのは韓国だけではない。(北)朝鮮、中国や東南アジア諸国も苦しめられた」と指摘した。インターネット上には「中国にはいつ詫びるのか」などとも書きこまれている。

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