ブラタモリ@NHK

 今や不動の国民的タレント・タモリが独自の視点でユニークな街歩きをするNHKの番組だ。確か半年はど前に始まったと思ったら、いつの間にか番組欄から消えていたのに、なぜだか今夜から何の説明もないまま再開された。復活第2シリーズの初回は東京・築地だった。

 築地とは、勤めていた会社の本社が5年前に日比谷から銀座5丁目に移ってきてからの付き合い。決して長くないが、最初の頃はモノ珍しさもあって銀座・築地周辺を歩き回った。このうち2年間は水産情報のニュース編集に携わった関係から、場内を含め築地とは結構濃密な付き合いをした。今となっては懐かしい思い出だ。

 築地と言えば築地市場を連想するが、市場が開設されたのは昭和10年(1935)と比較的新しい。それに先立つ12年前の大正12年(1923)9月に起きた関東大震災で日本橋魚河岸が焼失し、その代替地となってからだ。

 そもそも築地は、もともと浅草にあった本願寺が江戸時代初期の明暦の大火(1657)で焼失したため移ってきた土地。しかも海を埋め立てて築かれた土地だ。「築地」の地名の由来はここにある。本願時を中心に58カ寺の集まる寺町だった。

 明治時代に入ると、築地には海軍操練所など海軍関係の施設が集中的に建設され、海軍の拠点化したほか、外国人居留地としても栄えた。キリスト教主義に基づく女子神学校「女子学院」などの学校施設も最初にここに建てられた。発祥の地の碑銘が各所に残っている。外国人が多く通った聖路加病院があったためか、築地6丁目・7丁目辺りは空襲・延焼を逃れており、戦前の建物がまだ残っている貴重なエリアだ。

 普段気にせずに歩いている街でも、よく観察すると歴史を秘めたものに出会える。これこそ街歩きの醍醐味なのだろう。

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