「農学から生物多様性をみる」@東大農学部

 第39回東京大学農学部公開セミナー「農学から生物多様性をみる」で、①深まる生物多様性の危機②海の恵みを支える生物多様性③森林の地面の下の多様性―といった3つの講演を聴いた。結論から言えば、分かったような、分からなかったような内容だった。

 東大農学部の3人の教授が講義してくれるのだが、とにかく「生物多様性」という言葉自体が今一、ストンと腹に沁みてこない。複雑で多様な地球の生態系に問題が起こっていることは承知しているものの、その大変さに切迫した危機感を持てないのだ。

 最後の氷河期が終わって現代までは約1万年。この期間を「完新世」と呼ぶらしいが、この期間は地球の歴史の上でも特異的と言えるほど環境が安定していた。環境が安定したおかげで、文明が生まれ、農業を可能にし、人類が地球上の圧倒的な優先種となる発展の機会を提供したのだと鷲谷いづみ教授(生圏システム学専攻)は指摘する。

 しかし、その安定した環境が現在、大きく損なわれようとしている。この環境変動をもたらした最大の要因は、産業革命以降の人間活動。とりわけ化石燃料の排出と工業化された農業だという。

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