巴馬ロハスカフェ

 昼休みにみゆき通りを歩いていたら、祝い花がズラッと並んでいる光景に出くわした。近づいてみると、19日にオープンしたばかりの「巴馬ロハスカフェ」(中央区銀座6-11-1銀座ソトコトロハス館1F)。「ロハスな長寿」をテーマにしたチャイニーズ・スタイルのダイニングだという。巴馬は中国の長寿村。

 確か、少し前まで東京電力のショールームがあった場所だ。螺旋階段を降りて、地下のダンスホールみたいなレストランで、何度かランチを食べたことを思い出した。ここがいつの間にかカフェに変わった。巴馬特産のアサ科1年草の一種「火麻(ヒーマ)」を使った中国料理が売り物だ。

 「中国の巴馬と日本の銀座というに2本の軸を持ち、空間、時間の質にこだわり、多様な顔、多様な年齢の人たちがともに過ごすカフェ」(HP)だという。内装は建築家の隈研吾氏が担当し、中国・巴馬の空気を体感できるミュージアムスペースになっているという。中には入っていないので、実際は知らない。

 銀座経済新聞などによると、 この店をプロデュースしたのは生活情報誌「ソトコト」の発行などを手掛ける木楽舎と中国・深市の主要高速道路建設・管理会社「深華昱(ホワユー)集団」が共同出資・設立した新会社「巴馬三生東京」。ホワユーは巴馬県でリゾート開発を行っており、巴馬ロハスカフェ開店は同リゾートの対日宣伝・広告プロジェクト第1弾と位置付けられているようだ。

 巴馬(バーマ)は中国広西チワン族自治区(省政府所在地・南寧市)にある「世界で一番長生きが多い里」らしい。同国西部のベトナム国境に近い。正確に言うと、同区河池市の管轄下にある1つの自治県(巴馬ヤオ族自治県)だ。同県の人口は25万人。

 巴馬ロハスカフェに中国資本が入っていることを知って、中国家電量販最大手・蘇寧電器集団(南京市)傘下に入ったラオックスのことを思い出した。ラオックスは先に銀座松坂屋本館6階に進出したばかり。カフェは奇しくも松坂屋のすぐ裏手に位置する。

 中国は20日に、2010年のGDP(国内総生産)が日本を抜いて世界第2位には躍り出たことが確実になったばかり。巴馬ロハスカフェの出店は中国の経済力を改めて目の前で見せつけられた格好だ。政治的・軍事的に対立していながら、経済的には深く結び合っている姿こそ、今の日中関係の厳然とした現実だ。好きとか嫌いとかの話ではないことだけは確かだ。

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