「彫刻家エル・アナツイのアフリカ」

企画展@埼玉県立近代美術館

「彫刻家エル・アナツイのアフリカ」と題した企画展を埼玉県立近代美術館(さいたま市浦和区常盤、北浦和公園内)で見た。彫刻(彫塑を含む)が好きなので、ほとんど予備知識なしで出掛けたが、自分で想像していたものと違うのでびっくりした。流石、「近代美術館」だと思った。

エル・アナツイ(El Anatsui)は1944年、英領ゴールドゴースト(現ガーナ共和国)の漁師町アニャコに生まれ、1975年からナイジェリア大学ンスカ校で現代美術を教えるアーティスト。木に彩色したり、彫ったりした作品はまだしも、驚いたのは壁一杯に広げられたテキスタイル(織布)状の巨大な作品。何だろうと近付いていくと、何とそれは何万個ものウイスキーボトル(アルミニウム)のキャップを銅線でつなぎ、編み上げられていた。

金属製の巨大なタペストリー(絵画風織物)だ。よくもまあ膨大な数のキャップを集めたものだと、非芸術的な感想を抱いた。酒造工場から手に入れた瓶のふたを銅線でつないたパーツを幾つも造り、それで帯状のさらに大きなパーツを造る。それをつなぎ合わせて大きなタペストリーに仕上げていく。気の遠くなるような仕事だが、アナツイの指示で芸術とは無関係なワーカーが「作業」を行うという。

空き缶やペットボトルなどの廃品を再利用した生活文化芸術だ。1人ではないにしても、気が遠くないような作業だ。物体や装置などが配置された空間そのものが作品で、こうした展示方法を「インスタレーション」というらしい。ときどき聞く言葉だが、難しい。

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