野田内閣が発足

記念撮影に納まる新閣僚(3日朝のNHKニュースから)

野田内閣が2日午後、正式に発足した。野田佳彦首相は第95代だ。大型台風接近とサッカーW杯アジア3次予選初戦の北朝鮮戦もあってそれほど注目を集めることなく淡々と組閣が進行し、淡々と発足した感じだ。これといったインパクトのある目玉人事もなかった。民主党政治に対する関心も極度に薄れた。期待することの馬鹿らしさを堪能したので、逆に冷ややかに眺めたい気持ちが強い。

しかし、むしろそのほうがいいのかもしれない。人によって評価は異なるが、鳩山―菅と続いた政権はとにかくひどかった。言葉ばかりが踊って、全く実行が伴わなかった。民主党内の内ゲバばかりが目立った。権力闘争だから仕方ない面もあるものの、あれだけひどいと目に余る。日本の政局を伝える海外有力紙の記事は野田新首相について「2年間で3人目」とか、「5年間で6人目」とかの形容が付いた。

事実そうだから、いかんともしがたいが、それにしても情けない。国家のリーダーが自分の国を辱めることをやっているのだから、あきれてモノも言えない。日本の大新聞やテレビは何かと言うと、元首相の発言を紹介し、今も敬意を払っているが、あれだけ対外的に国益を害した元首相は無視すべきではないか。無視したくても無視できないのだろうが、それが限界にちがいない。

野田内閣はさほど期待もされないものの、鳩山・菅政権があまりにも評判が悪かったので、それとの比較で意外と出足好調なような気がする。これまで足を引っ張っていた小沢グループの何人かを党幹事長や閣内に取り込んだためかもしれない。挙党態勢を重視した布陣だとしても、訳の分からない民主党という政治集団をそのまま組閣した内閣だから、政策の統一感は感じられない。

今はまだ、「震災復興・原発対応」という不一致しようのないテーマを抱えているからいいようなものの、デフレ・円高対策、新エネルギー政策などでは意見の隔たりもありそうだ。内閣の基本方針として「経済成長と財政健全化の取り組みを両立させる」と明記したが、言うは易く、行うは難しだ。

内閣の顔触れも若い。平均年齢は58.3歳と菅内閣スタート時の59.0歳からやや若返っただけだが、それは73歳の前田武志国土交通相が引き上げた格好で、とにかく若い閣僚のほうが多い。最年少は細野豪志環境・原発事故担当相の40歳。野田首相も54歳と若い。やはり若い方がいい。ベテラン組もいるが、安住淳財務相(49)、玄葉光一郎外相(47)など重要閣僚も40代だ。世代交代を印象づけた。

問題点を探しだしたらきりがない。ひたすら、せめて国益を損なうような政治だけはしてもらいたくない。普通にやれば、意外と好成績を残せる”好環境”での船出だ。政権を取り巻く雰囲気もがらっと変わった。期待はしないとはいえ、こちらの生活や子どもたちの将来にもろに響くのが政治だ。われわれの明日の手綱を握っているのも政治家だ。こちらもしっかり監視したい。

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