「藪伊豆」考

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そばにはそんなにうるさくないが、それでもどこでどんなそばを食べたかは気になる。店や味もさることながら、気になるのはむしろその背後にある物語だ。裏に潜む歴史に関心が向くのである。ワインや地酒がもてはやされるのも、それにまつわる物語があるからだ。

9月いっぱいで退社する同僚の送別会で、藪伊豆総本店(中央区日本橋3)に行った。「総本店」が気になったが、HPを見ても東京でも老舗であることは分かっても、どこにも支店・分店の記載がない。それなのに総本店は何を意味するのだろうか。

そば屋で「藪」はブランドだ。至るところに「藪」がある。一時、農水省北別館地下の「藪伊豆」の野菜炒めそばがお気に入りだった。国会内にも衆議院と参議院の両方に藪伊豆が入っている。藪系の店は多い。藪伊豆と同総本店の関係はまだ解明していないが、同じ系譜であるのは間違いない。

藪伊豆総本店のHPによれば、「江戸天保の頃には京橋の地ですでに繁盛していた『伊豆本』が明治になって、『藪』の暖簾に入り、『藪』に『伊豆本』をつけて『藪伊豆』になったのが明治15年。これを『藪伊豆』の創業としています。その後長く京橋で営んでおりましたが、平成8年に日本橋に移り、現在に至っております」。

総本店はなかなかの店構えで、風格もあるが、私にとっては農水地下の「藪伊豆」が合っている。味もコシが今一物足りない。誰にも自分のひいきにするそば屋があっていい。

ついでにそば屋の系譜は藪系のほか、更科系、砂場系、一茶庵系ととにかく多彩だ。東京はそば屋だらけだ。

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柴咲コウ@SONGS