『珈穂音』

創業1964年

和風レストラン「珈穂音」(カポネ)。新宿紀伊国屋ビル地下1階。創業1964年。東京オリンピックの年だ。紀伊国屋書店が開店した年でもある。ということはこのビルができた年から営業している店ということになる。

この店の存在は数年前から気づいていた。同じビルの地下1階にある飲食店街にある「下町焼きそば銀ちゃん」の焼そばはときどき食べるし、新宿で本を買うなら基本的には「紀伊国屋書店」と決めているからだ。ただ店の位置が飲食店街でも一番裏側にあるのと書店に直行した場合、地下にはいかないため、強く意識することもなかった。

それがあるとき、この「創業1964年」の看板を目にしてから気になるようになっていた。19歳で東京に出てきたときの下宿が早稲田・戸塚町だったので、何かにつけ新宿はホームグラウンドになった。貧乏学生の分際で、優雅な暮らしにはほど遠かったが、お金がなくても、新宿までなら下宿から30分も歩けば行けたし、本を立ち読みする分にはお金は要らない。それでいて文化的な雰囲気にたっぷり浸れた。

大学に入学したのは1968年。その当時、紀伊国屋書店は既にあった。だから「珈穂音」もあったのだろう。しかし、入ったことはなかった。大学を卒業し、社会人になってからも紀伊国屋書店との付き合いは途切れ途切れながら続いたものの、この店は知らないままだった。

久しぶりに知人と新宿で飲むに当たって、この店を思い出した。和風レストランと名乗っているだけあってランチを含めメニューは豊富。日本酒と焼酎の品ぞろえもしっかりしている。今夜の話題は欧州債務危機とODA。12月に入って2度にわたって欧州各国を駆け回り、各国の援助政策をヒアリングしてきた援助関係者の話を、日本酒を飲みながら聞くのも乙なものだった。

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