氷見(ブリ+うどん)

富山のぶり(右側)

 

最近は何でもブランド志向が強い。牛肉には神戸牛、松坂牛、近江牛など数多のブランド牛があり、豚肉の銘柄豚も金華豚、鹿児島黒豚など雨後のタケノコの如しである。魚の世界も負けていない。カニには松葉ガニや越前ガニが有名だし、アジなら関アジ、サバでも関サバがすっかり定着した。タコや鯛ならば、明石と相場が決まっている。宣伝がうまいこともあるのかもしれないが、それだけの裏付けがないとブランドは根付かない。

最近スーパーの鮮魚売り場をのぞいていると、目にするのが富山県氷見(ひみ)のブリ。ブリは出世魚で、体長90cm以上の4-5年のものを指すらしいが、関西ではそれより少し小さいブリを「ハマチ」と呼んで食べている。ブリという名前は関東に来て初めて覚えたように気がする。ハマチが大きくなってブリに改名することも知らなかった。

ブリは刺身もいいが、煮付けがうまい。新鮮な刺身を食べられる境遇になかったから、小さなころの思い出は煮付けばかりだ。身が柔らかいから、老人食にも向いている。そのブリだが、いつの間にか「氷見ブリ」が名前をとどろかせている。氷見と言うとブリと条件反射的に出てくるほどだ。別に努力して覚えたわけではない。恐らく、知らず知らずのうちに刷り込まれていたのだろう。いろんな局面で、いろんなことが刷り込まれ、情報をきちんと吟味することのないまま、自分の意識に定着していく。恐ろしいことだ。

このところ2カ月ごとに出席している勉強会の会場が富山県赤坂会館の食堂。ちょうど寒ブリのシーズンだったので、氷見のブリが刺身とサラダで出た。最近は養殖のブリも多いが、食堂のお母さんによると、「氷見のブリはすべて天然物。食べると、身が引き締まっているし、臭みもない。養殖は水分が出るが、天然物は水が出ない」と説明してくれた。言われる通りだった。

 

 

氷見うどん

 

「氷見うどん」を意識して食べたのは今回が初めて。細麺で「稲庭うどん」に似ていると思ったら、作り方は同じらしい。麺が細いのは隣りの石川県・輪島のそうめんがルーツだといわれ、うなづいた。昔は「糸うどん」と呼ばれていたようだ。讃岐うどん(香川県)、稲庭うどん(秋田県)、水沢うどん(群馬県渋川市伊香保町水沢)を日本3大うどんと称するらしい。うどんの世界でもブランド化が進行している。

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