原発民間事故調報告

独立報告書(日本再建イニシアティブのHPから)

 

東京電力福島第1原子力発電所事故の調査委員会は3つ。政府の事故調、国会の事故調、そして民間の事故調。ややこしく、今一つ違いが分からない。分からなければ、本当に信用していいのか、疑問が湧いてくる。恐らく、どれにもそれなりの事情があるはずだ。事実は1つでも、それを眺める人の立場や信条、知見などによって、見方も違ってくる。

■福島原発事故独立検証委員会

・委員長・北沢宏一科学技術振興機構前理事長
・一般財団法人「日本再建イニシアティブ」(船橋洋一理事長=元朝日新聞社主筆)が独自に実施した民間プロジェクト
・但木敬一元検事総長や遠藤哲也元国際原子力機関理事会議長、野中郁次郎一橋大学名誉教授など6人の民間有識者による事故調
・2012年2月27日に報告書発表

■東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会

・委員長・畑村洋太郎東大名誉教授
・閣議決定により内閣が設けた事故調
・2011年12月26日に中間報告発表

■東京電力福島原子力発電所事故調査委員会

・委員長・黒川清元日本学術会議会長
・国会が設置した事故調
・2012年6月めどに報告書発表予定

1つの報告書がすべてを網羅し、それを信じられるのなら、それがベストだが、そういうことはあり得ない。いろんな見方があるのはむしろ健全なことだと思う。多様性が重要だ。政府の事故調は昨年12月、中間報告を発表したが、政府関係者への聞き取り調査はなく、もっぱら「原発内で何が起こったのか」に焦点を合わせた内容だった。

今回の民間事故調は、政府の中間報告で明らかにならなかった菅首相(当時)をはじめとする関係者300人超にヒアリングを実施。あの日に「官邸がどういう対応をしたのか」の実態を浮き彫りにしており、インパクトが強い。官邸の事故対応が機能しなかったことも露呈し、マスコミ的には派手だ。ただ東電はヒアリングを拒否しており、調査の限界も露呈した。そもそも単なる1シンクタンクの報告だ。民間を代表したものではない。その点も押さえておく必要がある。

 

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