為末大『走りながら考える』

自著にサインをする為末氏

講演後、自著にサインをする為末氏

 

千代田区立日比谷図書文化館で行われた上廣・日比谷ライブラリーレクチャー「トップアスリートの挑戦」(全3回)の第1回為末大氏(元プロ陸上選手)「走りながら考える」を受講した。ナビゲータの吉井妙子氏(ジャーナリスト)との対談形式のトークショーだった。

何事もその道を究めた人物の話は含蓄があって面白い。勝負というか競技の世界でダントツの成績を収めた人は表から窺えないものを持っているものだ。極限まで道を追求することで、そこまで行けなかった普通の人間では味わえなかった者のみが持つ世界観があるからだ。

為末大氏は1978年広島生まれ。2001年のエドモントン世界選手権で、男子400mハードル日本人初の銅メダル獲得。2003年に勤め先の大阪ガスを退社し、プロ陸上選手になった。2005年ヘルシンキ世界選手権でも銅メダル獲得。シドニー、アテネ、北京の各オリンピックに出場したが、メダルとは縁がなかった。2012年に現役引退。

◍世界1になりたかったので、高校3年の時にマイナー種目のハードルに転向した。「やりたいことをやるか」、「自分に向いていることをやるか」について価値観の葛藤に悩んだ。「世界1になること」を選んだ。それがハードルだった。それまでは100m学生チャンピオンだったが、100mでは無理だと思った。

◍400mハードルは35mごとに10台のハードルが置かれている。戦略を持ち込みやすい。全力疾走させてくれない競技。息を合わせる競技。日本にはデータが蓄積されていた。自分の闘い方ができる。

◍コーチがいなかった。自分を客観的に見てくれる人が欲しい。仮説→分析→実験→修正。そんな選書滅多にいない。自分だけだった。西洋人は身体の状態が揺れるヒップホップみたいに。日本人は揺れない日本舞踊みたいに。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.