2014年経済見通し

 

会見する髙橋氏

会見する髙橋氏

 

テーマ:2014年経済見通し-アベノミクスの成果と課題-
会見者:髙橋進氏(経済財政諮問会議議員、日本総合研究所理事長)
2014年2月3日@日本記者クラブ

 

安倍晋三政権の発足に伴い復活した経済財政諮問会議。マクロ経済政策の司令塔として政権の経済財政運営方針の基本設計に関わる提言、立案を行う。その民間議員に2013年1月に任命された。

成長戦略と財政健全化の両立に向けたグランドデザインを描くのが仕事だが、20年も続いてきたデフレから脱却すること自体大変な上、さらに2%成長の実現はすこぶる付きの力仕事だ。

それだけにとどまらない。一方で、経済規模対比200%に達する債務を抱える財政も健全化しなければならない。「異次元の金融緩和」で成長エンジンをふかしつつ、財政支出を圧縮し、債務削減のためのブレーキを踏む。正反対の行動を同時に行うのだから、誰が考えても無理難題。

しかし、それを乗り越えなければ、日本経済の復活は望めない。となれば、「やるしかない」。それをどう実現するか。その手段はあるのか。

■今後のアベノミクスを見るポイント

・今後アベノミクスの課題は、官公需から民需へのバトンタッチを実現すること。今後3年間の取り組みが日本の将来を決める。

・民需活性化のためには、企業の投資意欲を引き出すこと、賃金引き上げによって個人の消費意欲を引き出すことを通じて、民間経済の好循環を生みだす必要。

・拡張的な金融・財政戦略に加えて、税制改革や規制改革(特区)による成長戦略の深掘りと、政労使の対話を通じた労働市場改革などを通じて、デフレマインドを払拭し、民間の期待成長率に働き掛けることができるかどうかがカギ。そのためには、改革の好循環を生みだす必要。

・オリンピックの開催は、アベノミクスにとって第4の矢。

■日本企業の課題と対応

・アベノミクスの下で、六重苦など企業経営の制約は徐々に解消に向かうと期待されるものの、日本企業が競争力を取り戻すためには、「輸出商品の差別化を図れず、中韓との価格競争に巻き込まれる」という事業構造の見直しが不可欠。

・国内では、公共事業や医療、農業分野における官民の役割の見直しが必然であり、民間企業の活動の場が広がる筋合い。

・企業が、自らデフレ・マインドを払拭し、イノベーションやグローバル化などでのリスクテイクを通じて新分野の創出にどれだけ積極的にチャレンジするかが、個別企業のみならず、日本経済再生のカギ。

・そのためには、積極的な人材活用と人材育成のための投資(女性を含む)が長期的な企業発展のカギ。

・多くの中小企業にとっては、自らのイニシアティブによるグローバル化、または地域経済の再生に向けた地域内協力の枠組みへの参加が生き残りのカギ。

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