「遺伝子組み換えの現状と未来を考える」シンポ

 

立ち位置の異なる2人が並ぶ(右は生物研の田部井豊氏)

立ち位置の異なる2人が並ぶ(右は生物研の田部井豊氏)

 

市民キャビネット農都地域部会の遺伝子組み換えシンポジウム「遺伝子組み換えの現状と未来を考える」に参加した。遺伝子組み換え(genetically-modified=GM)の実態がよく分からないまま、今やあらゆる作物にGM技術が導入され、GM食物は日々われわれの口に入っている。

知って食べるのと、知らないで食べるのとは全く違う。知らないで食べるのはまずい。関係者の話を聞きながら考えて見たいと思ってシンポに参加した。

「73億人を超えた世界の人口は、毎年7000万人も増え続けています。この食糧生産手段の1つに、GM作物があり、その生産開始後わずか20年で、米国ではトウモロコシ生産の93%、大豆の94%を占め、世界28カ国で栽培されています。日本は、世界一のGM作物の輸入大国で、家畜飼料や食用油、でんぷん、果糖ブドウ糖液糖などの加工に用いられています」(シンポちらし)

この日の講師は農業生物資源研究所遺伝子組換え研究推進室の田部井豊氏。国立研究開発法人で、GM推進の立場だ。この日もGM技術を活用した品種改良について説明した。既に実用化されている農産物は以下の通りだ。

1.日持ち性を改良したトマト
2.除草剤耐性ダイズ
3.害虫抵抗性トウモロコシ
4.除草剤耐性ナタネ
5.害虫抵抗性ワタ
6.害虫抵抗性およびウイルス抵抗性ポテト
7.ウイルス抵抗性パパイア
8.除草剤耐性テンサイ
9.除草剤耐性アルファルファ

問題はGM農産物に対する安全性評価だが、生物多様性影響評価(カルタヘナ法)、食品としての安全性(食品衛生法)、飼料としての安全性(飼料安全法)の3つのレベルで評価されている。

一方、GM食品の危険性を主張したのはルナ・オーガニック・インスティテュートを主宰している安田美絵氏。指摘したのは残留農薬の害とBt毒素(バチルス・チューリンゲンシスという土壌微生物が作り出すたんぱく質)の害などだ。

GM作物は米農薬大手のモンサント社の除草剤「ラウンドアップ」が大量に使われて栽培されている。その結果、農産物に農薬が大量に残留する。ラウンドアップの主成分グリフォサートは出生異常を引き起こすことをブエノスアイレス医科大学の科学者チームが実験で確認した。

また、2015年3月には世界保健機構(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)がグリフォサートを5段階分類で上から2番目にリスクが高く、「人に対する発がん性が恐らくある」ことを示す「2A」にランク付けた.事実上「発がん性物質」と認定したのも同然だ、という。

それなのに、モンサントは残留基準値の引き上げを政府に要請し、それが認められている。

Btたんぱくは、昆虫の消化管に穴を開けて昆虫を殺す。ただ、昆虫の消化管はアルカリ性のため同たぱくが活性化し、昆虫の消化管の受容体と結合して作用するが、人間の消化管は酸性で、Btたんぱくの受容体もないので無害と一般には説明されている。

しかし、現実にBtコーンを主食として食べた人たちによると、下痢をしたり、咳が出たり、具合が悪くなることが経験上分かったためフィリピンの栽培農家は自分では食べないという。水牛に食べさせると死んでしまうともいう。

アメリカでは1990年代後半(GM食品が流通するようになって)から急増しているのも、Btたんぱくが一つの原因ではないかと推測されるという。またBtコーンのスナック菓子など、Btたんぱくを含む食品が流通しているため、GM食品をやめて健康を取り戻したいとう例が多くあるという。ただ、日本では表示義務の関係でほとんどの流通していないようだ。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.

東京日誌Ⅲ

Next article

花見送別会