『勝手にふるえてろ』

 

『勝手にふるえてろ』

 

作品名:『勝手にふるえてろ』(原作・綿矢りさ『勝手にふるえてろ』)
監督・脚本:大九明子(おおく・あきこ)
企画・プロデュース:白石裕菜(しらいし・ゆな)
キャスト:松岡茉優(まつおか・まゆ)江藤良香(ヨシカ)役
北村匠海(きたむら・たくみ)イチ役
渡辺大知(わたなべ・だいち)二役
2018年6月22日@飯田橋ギンレイホール

 

最近は映画のタイトルを見ても、もちろん内容を見ても何が何だか分からない。原作の綿矢りさの名前は知っているものの、本作は読んでいなかった。とにかくよく分からない。キャストも当然そうだし、もうお手上げだ。

ホームページを見ていたら、昔の内容からリニューアルされた。新しいHPは何を意味しているのかさっぱり分からない。批判もできない。システムを分かった上でないと、何も言えないのだそうだ。こうなったら一切合切口出し無用である。済みませんと退却するだけだ。大変な世の中になってしまった。

24歳のOL江藤良香(ヨシカ/松岡茉優)は絶滅動物をこやなく愛するオタク系女子。中学時代の同級生「イチ」(北村匠海)に10年間片思い中だが、同じ会社の営業として働く同期「二」(渡辺大知)から人生初の告白をされる。

ある夜、電気ストーブが布団に引火するというぼや騒ぎを起こし、死ぬ前にせめてもう一度イチに会いたいと覚悟が固まる。「一目でいいから、今のイチに会って前のめりに死んでいこうと思ったんです」。

ようやくこぎ着けた上京組のグループに何とか加わり、夜明けのベランダでアンモナイトの生態で盛り上がるヨシカとイチ。「あの頃に君と友達になりたかったな」

しかし、次にイチの口から発せられたのは、衝撃の一言だった。

主演を務めるのは、映画初主演となる女優の松岡茉優。映画「ちはやふる」で若宮詩暢役のほか、ドラマ「ウチの夫は仕事ができない」「コウノトリ2」などに出演中。とにかく「ファック!」を含め劇中歌の長い歌詞も歌うなど面白い。

大九監督インタビューがパンフレットに載っている(取材・文=細谷美香)。ヨシカのキャラクターについて大九監督は「どんな映画なのか」という自分の覚書を見てもらいながら、ヨシカについて話をしたという。「オールジャンルの人にひっかからなくてもよくて、ある特定数の女の人たちが『この主人公は私だ』と思ってもらえればというようなことを書いた」という。松岡さんも「OLさんで鬱々としたものを抱えている子を知っているから、その子に向けてやっていみる」と言っていたという。

「勝手にふるえてろ」は原作ではイチに向かって言っているが、大九監督は脚本を書き始めた早い段階では自分に向けた言葉にしたいと考えていたようだ。若い女なんてものはどうせ大変だと言いながら、意外と死なない生き物だから、勝手にふるえてろよ、と。そういう過去の自分に対しての言葉でもありましたね。

大九監督はまた次のようにも言う。「ある特定数の女の人たちに伝わればいいかなと思って撮った映画ですが、見て下さった男の方たちの中にも『ヨシカに共感しました』という方が結構いて、それは意外な副産物でした。一歩先に踏み出せない、というか、これは一歩先に行くのはバカのやることだと何だかんだと理由をつけて先にいかずに自己完結していた主人公が、自分の理想やプライドから解放される話だと言えるかも知れません」

「物語の最後でヨシカは、ちゃんと相手にぶつかって、人に見せたくないみっともないところを見せられる人になったのだと思います」

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