「迷ったら茨の道を行け」佐田展隆社長

 

紳士服業界に旋風を巻き起こす佐田展隆SADA社長

 

大手寡占のスーツ業界に風穴をあけた「オーダースーツSADA」V字回復の奇跡を株式会社佐田の佐田展隆社長が4日、企業価値フォーラムで事例発表した。

佐田社長は昨年12月、『迷ったら茨の道を行け~汗と涙の経営実践指南書~』(ダイヤモンド社)から出版し、現実にあった中小企業再生劇を公開した。メディアを巻き込んだ戦略や社長が率先して行う販促活動など面白いと思えば面白い。つまらないと言えばつまらない。

しかし、売り上げの半分を占める大手得意先の倒産。大赤字。売り上げを超える有利子負債。莫大な金利。親子闘争。幹部社員の離脱。金融機関からの厳しい追及・父親の自己破産。再生ファンドへの会社売却。社長追放。東日本大震災での自社工場被災。再びの大赤字。父親の後を託された若き4代目経営者。これだけのテーマが並ぶ。話を聞いてみてもいいだろう。

佐田氏は1974年東京生まれ。一橋大学経済学部卒。高校までサッカー部、大学時代はノルディック複合選手の体育会系。大学卒業後、東レでテキスタイル営業。

2003年、父に乞われ、株式会社佐田入社。05年、代表取締役社長就任。バブル時代の大手取引先そごう倒産の傷跡が深く、破綻寸前の企業を黒字化するも、莫大な有利子負債は如何ともしがたく、07年、金融機関の債権放棄とともに、会社を再生ファンドに譲渡。

08年、引き継ぎを終え佐田を退社。しかし、リーマンショックで再生ファンドが解散となり、会社の所有権は転々とする。そこへ東日本大震災が起こり仙台工場が被災し、会社の引き受け手がいなくなった。11年7月に再々生のため呼び戻される。

12年に社長に復帰し、仙台と北京に工場をもつオーダースーツの工場直販事業強化を柱に、直営店による小売業も強化。企業改革を進め、3期連続増収増益を達成し業績を安定化させた。以後も売り上げの拡大を継続。現在では自社をオーダースーツチェーン店舗数日本一に成長させる。

自身が広告塔だ。自社オーダースーツPRのため、自社スーツをまとい、スキージャンプを飛ぶ。富士山に登る。東京マラソンを走る等のチャレンジを行っている。現在、全国に49店舗を持つ製販一体のオーダースーツ会社として業容を拡大している。

現在サッカーJリーグの9チームやバスケ日本代表、プロ野球球団へもオーダースーツを提供するなど品質には高い評価を得ている。

座右の銘は高杉晋作の辞世の句「おもしろき こともなき世を おもしろく」。どうやら私と同じのようである。

「オーダースーツのSADA」と言われてもピンとこない。既成スーツはメーカーが一定規格で大量生産したスーツのこと。DIFFERENCE新宿南口店エリアマネージャーの杉原一臣氏によると、吊るしのスーツがこのタイプ。手軽な完成した状態で売られており、必要なときにすぐ購入できるし、価格も安い。

ただ既製服もデメリットがある。標準体型から外れている人にとっては制限があるし、品質面でもオーダーメイドに比べ生地や縫製のクオリティーを落としているケースもあるからだ。

オーダースーツのメリットは自分の体型に合ったスーツを作れること。自分の好きな生地やデザインを選んでスーツを作れることもOKだ。一度作ってしまえばあとは簡単にオーダーできる。

オーダースーツには3つのオーダー方法が存在する。最も高価なのがフルオーダー。オリジナルの型紙を起こすところから工程が始まるため、完全にオリジナルの一着を作れる。

一方、パターンオーダーはほとんど既製品を選ぶ感覚で作れる。用意されたサンプルの中から自分の体に近いものを選び、着丈などの細かい部分を調整して仕上げるオーダー方法だ。

あらかじめ決められた型紙を使い、工場で大量生産される。価格も安く、仕上がりも早いのが特徴だ。既製品と同じく標準体型に合わせて作った型紙を使うため、よりフィット感のある既製スーツを求めている人に向いている。

フルオーダーとパターンオーダーの中間に当たるのがイージーオーダー。あらかじめ何種類かの型が決まっていて、各自の体に合わせて新しい型紙を起こすようなことはしない。しかし、体型に合わせてCADシステムや手書きで型紙を修正し、それに合わせてスーツを仕立てる。比較的手頃な価格で各自の体型に合ったスーツを仕立てられるのがメリットだ。

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