「フレイル・ロコモ」を予防し人生100年時代を生きる

 

話をするデリカフーズホールディングスの丹羽真清氏

 

NPO法人農都会議「食・農・環境グループ」は9月12日、「農作物と食と健康」とのテーマでデリカフーズホールディングスの丹羽真清(にわ・ますみ)未来開発最高役員の話を聞いて議論した。丹羽氏は前社長。同社は外食産業2万店舗向けにカット野菜と丸のままのホール野菜をデリバリーを行っている企業。生鮮業界では初の東証1部上場。

・実際の生産は生産者に委託しており、われわれは物流と加工を担っている。名古屋市にデザイナー・フーズを設立したのは20年前。

・デザイナー・フーズは20年前から分析をしている。同じ野菜を1年間提供できないことを説明するために分析を始めた。カボチャの糖度は1年間で8%違う。よって濃いタレと薄いタレを作り提供した。

・野菜ビジネスで日本を健康にしたい。「生命食」を日本中に広めたい。体の37兆個の細胞は植物から成り立っている。体は毎日代謝している。高校時代に管理栄養士になろうと決意した。

・3度の食事が細胞を再生、修復する。生活食から生命食へ。人が老化して歳をとるというのは正しい遺伝子を次の世代に伝えていくこと。

・外食産業は「食の病院」に、量販店では「食の薬局」になってもらいたい。15年前に登録商標をとり、5年前から使うようになった。2つを「生命食」でつなげて、外食でも中食でもスーパーでも「生命食」を販売してほしい。

・「日本老年医学会が2014年に提唱した概念が「フレイル」(Frail=虚弱)対策だ。健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的能力や認知機能の低下が見られる状態のことを指す。

フレイルの概念(アクティブシニア「食と栄養」研究会資料)

フレイルは身体的要素(筋力低下、口腔機能低下、運動器障害=粗鬆症、変形性関節症、サルコペニア=ロコモ)、精神的・心理的要素(認知症、うつ)、社会的要素(閉じこもり、孤立、孤食、経済的困窮)で構成されている。

・加齢などにより筋力や筋肉量が減少すると活動量が減り、エネルギー消費量が低下する。さらにその状態では食欲が湧かないので、食事の摂取量が減り、タンパク質をはじめとした栄養の摂取不足による低栄養状態になる。低栄養の状態が続くと体重が減少し、筋力や筋肉量が減少していく。こうした悪循環をフレイル・サイクルと呼び、転倒や骨折あるいは慢性疾患の悪化をきっかけとして要介護状態になる可能性が高くなる」

・日本人の平均寿命は現在、男性81.09歳、女性87.26歳だが、問題は健康寿命が男性72.14歳、女性74.79歳であること。男性が9年、女性12.5年寝込んでいるところが医療費42兆円につながってくる。

・われわれが寝込まないことが自分にとっても重要なこと、次の世代にとっても重要なこと。

・安倍晋三首相も2013年の「日本再興戦略」で「セルフメディケーション」(自己治療)を打ち出した。病気にならない方法を模索することで、世界保健機構(WHO)は「自分自身の健康に責任を、軽度な体の不調は自分で手当てすること」と定義している。確定申告で税金還付やホームドクターを持つこと、大きな病院にすぐ行かないことがセルフメディケーションだ。

・われわれは自分に薬を投入する前に野菜を食べることを勧めたい。アグロメディカルフーズという考え方だ。目標は1日当たり350グラムだが、70グラム足りない。今より10分多く歩くこと、煙草を吸わないこと。

・昔はぽっくり寺にお参りに行っていたが、ピンピンコロリか年々コロリか。フレイルとロコモティブシンドローム(運動器障害)を予防し、人生100年時代の健康で長生きを目指す。

・運動しようとか歩こうとかなぜ筋肉を付けなければいけないか。筋肉があるときちっとエネルギー代謝をする。タンパク質をとることにつながってくる。

・60歳までの人生が100歳までに延びてきた。われわれにはまだ「回復力」がある。100歳以上は国内に約7万人弱いる。男性12%、女性88%。

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