「花見などしているときではない」と専門家は爆発的感染拡大を強く懸念し、「首都封鎖」の可能性もと小池都知事

 

首都封鎖の可能性を指摘した小池百合子都知事(NHK)

 

小池百合子東京都知事は23日、新型コロナウイルス感染拡大防止の対策会議を開き、大規模イベントの自粛を4月12日(日)まで続けることを表明。その後の会見で初めて首都東京の封鎖の可能性について言及した。

世界各国で外出制限や都市の封鎖が広がっている。ロンドン、パリ、ニューヨーク、ミラノなどの街角から人が消えた。一方で、花見シーズンの日本は自粛ムードが和らぎ、コロナの感染拡大が減ったかのような受け止め方が広がっている。21日にあえて私が房総半島にドライブに出掛けたのもそういうムードを受けたものだ。

しかし、専門家らの見方はどうもそんな甘い雰囲気ではないようなのである。小池知事も、「事態の今後の推移によっては都市の封鎖、いわゆるロックダウンなど強力な措置を取らざるを得ない状況が出てくる可能性がある」と語った。海外の大都市のように、東京を封鎖する可能性に言及したのだ。

 

東京が感染者数トップに(ニュースウオッチ9、NHKプラス)

 

感染経路不明の患者が過半数に(NHKプラス)

その背景にあるのは24日午後8時40分現在の感染者数累計がこれまでの北海道に代わって東京が最多にのし上がったからだ。東京都は17人増えて171人。これに対し北海道は1人増の163人だ。東京都が最も多くなった。

また都が発表した3月1日から23日までの感染者の累計のうち、33人が濃厚接触者、25人は海外からの帰国者、残り59人はどこで感染したのか分からない感染経路不明者だという。都に助言を行っている国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は番組の中で「リンクの追えない(感染経路の分からない)陽性の人が出てきている」と述べた。

「これは実際に現場で診療しているわれわれが見ている事実だ。特に3月の前半と後半では状況が明らかに変わってきている」としている。現場で実際に診療している医師の判断とそれをテレビや新聞、他のSNSなどを通じて見ている一般国民との間で受け止め方に大きな差が出ていることを意味している。

感染経路が分からないことは水面下で感染が拡大するリスクにつながり、爆発的な感染拡大、オーバーシュートが生じかねないと警告した。

小池知事は「感染しても症状の出ない若い人々が無自覚のうちにウイルスを拡散させてしまう。このことが懸念される」と述べた。

東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「現在やや自粛ムードが和らいできている状況がある。今の状況を重く見ない、油断するようなことがあったときに感染症は一気に広がってしまう可能性がある。私たち個人個人が危機意識を持っていないと欧米のようなまさに戦争状態に突入していくリスクはある」と語った。

現場の専門家らと国民の間にどうやら受け止め方に差異がありそうである。正直、何とか収まって欲しい。収まると楽観的に考えたいと思えば、どうしても自粛ムードは和らいでくる。ヒタヒタと危機が迫っている中、ともすれば緩みがちな危機意識を高めていくのは難しい。

しかも世の中は春である。気温が上昇し、桜が咲き誇っている。24日は練馬区では小学校の修業式が行われ、子どもたちは久しぶりに学校に行った。25日は卒業式が行われた。首都を閉鎖すれば、すべてを取りやめることになる。戦争なら仕方がない。都市を閉鎖し、人の移動を全て禁止すればよい。

 

東京五輪の1年延期を伝えるニュースウオッチ9(NHK)

 

安倍晋三首相は24日夜、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と電話で協議し、今夏の東京五輪・パラリンピックを1年程度延期することで合意した。IOCも直後の臨時理事会で両首脳の合意を承認した。

世界で戦争が行われている真っ最中に五輪を行うのは不可能だ。カナダのように不参加を表明した国も出てきている。「延期のシナリオの検討に入る」と22日に表明したばかりのIOCも殺到する批判の波に抗しきれなかった。当然である。

 

 

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