緊急事態は解除されたものの、北九州市・東京で「第2波」クラスターが発生＝どこで起きてもおかしくない情勢

 

■在宅勤務なお多く、出勤はぼちぼち

 

政府が２５日に緊急非常事態宣言を全面解除し、２６日から通常の体制に戻った。２７日に電車を乗り継いで神田駅周辺に歯医者に通ったが、各駅周辺の乗降客は限定的でそれほど多くなかった。むしろ拍子抜けだった。

それをスマホデータが裏付けている。２７日付日経朝刊によると、NTTドコモの位置情報を分析した滞在人口データを基に、首都圏の主要ターミナル駅付近の人出を調べたところ、２６日午前８時台の人の数は１週間前に比べ６～８％増にとどまったという。

店によって休業再開の日はまちまちで、宣言解除と同時に営業を再開する店はむしろ少なく、ドトールコーヒーは体制が整備次第順次再開していく方針。当初予定通り６月１日からとする店もみられる。ルミネ新宿店は６月３日から営業を再開するとしている。

社員の出社再開も急がないところが多い。５月一杯は原則在宅勤務を続ける企業が多く、あえて出勤を求めない方針だ。

 

 

■全世界で581万人、日本は世界41位の1万6000人

 

国内の新型コロナウイルス感染者数は５月２８日確認分を入れて累計で１万６５２７人で前日比５４人増、死者は同８８４人と同１４人増えた。

米ジョンズ・ホプキンス大学によると、世界の感染者数は累計で世界１８８カ国・地域で５８１万３９９７人、死者数は同３６万０３９７人。感染者数でダントツに多いのは米国の１７２万人、次いでブラジル４３万８０００人、ロシア３７万９０００人、英国２７万人、スペイン２３万７０００人、イタリア23万1000人、フランス18万6000人、ドイツ18万2000人、インド16万5000人、トルコ16万人。

中国の感染者数は約8万4000人で世界15位。日本は1万6598人と41位、韓国は1万1000人で48位となっている。

死者数も米国10万1617人を筆頭に、英国3万7919人、イタリア3万3142人、フランス2万8665人、スペイン2万7119人、ブラジル2万6754人、ベルギー9388人、メキシコ9044人、ドイツ8470人、イラン7627人の順だ。

 

■北九州市で22人、東京都で15人の「第2波」新規感染

 

日本は「第1波」を何とか押さえ込んだが、「第2波」への警戒感が強まっている。福岡県北九州市市では4月初旬に医療機関でクラスターが発生したが、その後5月22日まで3週間以上感染者ゼロを確認。しかし23日から27日までの5日連続で計22人、28日は21人と合計43人の感染者が出た。

市保健福祉局は28日夜に会見し、門司メディカルセンター（同市門司区）の患者と医療スタッフ計10人のほか、北九州総合病院（同市小倉北区）の患者と医療スタッフ計5人の感染確認を発表した。市は「いずれもクラスターと認識している」と説明している。

北橋健治同市市長は28日、「第2波の入り口に立っているが、何としても第2波にならないようにする」と防止に必死の構えを見せていたが、29日には「第2波の真っ只中にある」との認識に改めた。

一方、東京都は28日、新たに15人の感染者が確認されたと発表した。このうち9人は武蔵野中央病院（東京都小金井市）の職員や患者9人で、緊急事態宣言が解除されてから初のクラスターが発生したとみられる。

都は厚労省のクラスター対策班の派遣を要請し、院内感染の可能性も含めて調査を進めている。

国際医療福祉大学の和田耕治教授（公衆衛生学）は「休業要請や外出自粛を呼び掛ける緊急事態宣言には至らなくても、自治体単位で中規模以上の感染が発生することは全国どこの都市でも起こりうる。そうした心づもりで日頃の感染対策を徹底してほしい」と話している。

 

■韓国・首都圏、再び外出自粛

 

韓国政府は28日、新型コロナウイルスの感染者が再び増加ペースを強める可能性があるとして、29日からソウルを含む首都圏で外出自粛を要請した。公共施設の運営も中断した。6月14日までの約2週間、外出自粛や在宅勤務を呼び掛ける。

同国は2月中旬、南東部大邱市の教会でクラスターが発生。同下旬には1日で800人を超える感染者数を確認した。3月中旬には100人以下に減少し、22日に行動自粛宣言を開始した。

5月6日に1カ月半ぶりに同措置を解除したが、同日繁華街のナイトクラブで集団感染が発覚し、全国の拡散した。最近ではソウル近郊の物流センターでもクラスターが発生した。

制限緩和は「1日50人」だが、5月28日には新たに79人の感染が判明した。