162haを田植機・コンバインセット1体制で耕す横田農場の水田経営戦略=公開シンポ②

 

横田農場の横田修一社長

 

■意外に家族経営的な小企業経営

 

農学会・日本農学アカデミー共同主催公開シンポジウム「家族経営農家の飽くなき挑戦と地域創生」が3月13日、オンラインで行われた。横田農場の横田修一代表取締役が「家族的小企業のICT水田経営戦略」と題して話した。同シンポ第2弾。

・外から見ると一応法人にもなっているし、内容的にも大規模農業だけど、意外と家族経営的だよね。家族経営から脱却できずにそうなっているのはないと私は意識している。

 

横田牧場の紹介

 

■令和3年の作付け面積は162ha

 

・有限会社横田農場は1996年に法人化し、家族以外に社員7名を雇用している「小規模企業」だが、目指している組織の在り方や稲作の作業体系は、いわゆる家族経営の組織構造や古くから農村社会で組織的に作業を行う「結」の考え方に近い。

・東京までは直線で50kmくらい。電車で1時間。茨城県南部からは通勤している方も多い。一方で平らな水田地帯が広がっている。山も何もない。自宅からは肉眼で東京スカイツリーが見えるくらい。

・役員2名(父+私)。社員9名の中には母と妻が含まれている。11名中7名は雇用している。1996年に法人化したが、父、母、私の3人。平成15年には家族外から雇用した。

・令和3年の作付け面積は162ha。

・法人化した1996年の経営耕地面積は約16ha。2006年頃から地域の高齢農業者のリタイアが急速に進み、毎年5~15haずつ増加している。限られた人員・農機を最大限に稼働させ、急拡大する経営面積に対応する方法として、早生から晩生まで8品種を組み合わせることで作期の分散・拡大を進めてきた。

・これが横田農場の代名詞のように言われる「田植機・コンバイン1セット体制」である。20年は159haの作付けを予定しているが、生産部門社員数は面積が半分だった10年前とほぼ変わらない。平均は20~30ha。

 

 

規模拡大(農地集積)の考え方

 

■規模拡大には消極的だった

 

 

・土地利用型農業。面積が評価みたいな尺度になっている。積極的な規模拡大は必然的だった。しかし横田農場はあんまりそういうことは考えておらず、むしろ消極的だった。

・比較的に限られた2.5平方km内で米作をしているのが特徴。高齢化でリタイアしていく、そのあとやる人がいない。横田さんやって下さいよ。たんぼの高低差がほとんどないので畦抜きして連反化できる。基本的な方針としては地域の外側に出てまでも拡大しない。地域も守る。

・田植機・コンバインは何台もあっても当たり前だが、最小限で何とかうまくやっている。それを実現するために作期を拡大し、田植えは4月下旬から6月下旬、稲刈りも8月下旬から10月下旬まで。2カ月間かけて作業を行っている。

・作期を拡大するために8品種を組み合わせている。

・企業的といえば企業だが、そうじゃないと先ほど言った。生産部門を担っている8名がどんなふうに連係して仕事をしているのか。うちはピラミッド方ではなくて自律分散型、アメーバー型に構造に近く、それぞれ独立して作業して相談・連係している構造を取っているのが特徴だ。

・指示待ちの構造になっていない。「結い」を目指しているような感覚か。急激な規模拡大に変化に対応する。

・苗を運ぶことや籾を運ぶ作業などの補助作業を女性が当たり前にやっているが、うちは母がオペラーター(コンバイン)をやっていた。補助作業は父がやっていた。逆の作業体型を組んでいた。今も同じ形態を取っている。熟練者ほど補助作業をやって次の段取りを考えた。

・ICTをどう使っているか。収量の取れない悪い田圃もある。400枚もあると見えにくい。見える化して分析して改善していく。みんな自分が必要なデータを集める。もっと効率化したい。

・ICTツールいっぱい出ているが、指示するツールが多く、うちには合わない。

・気候変動の影響大きいと思っていたが、いよいよそういうものの影響を受ける段階に来てしまったと感じている。2019年8月15日に台風10号中国地方を縦断して被害あった。関東は10mくらの風が1週間くらい吹いた。開花していた。不稔だった。収量はゼロに近かった。

・レジリエントな農業が必要だ。人の力が必要だ。

・コメを生産し販売している。

 

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