「台湾統一は歴史的任務」中国共産党100年記念式典で習近平氏が強調=ダブルスタンダードに批判も

 

天安門楼上に立つ習近平中国共産党総書記(テレビ朝日)

 

■中国共産党創立100年記念式典を開催

 

中国共産党は7月1日午前、北京市内の天安門広場で創立100年の記念式典を開いた。習近平総書記(国家主席)は演説で、「香港での全面的な管轄権を持ち、台湾独立のたくらみを断固として粉砕しなくてはいけない」と強調。米国を念頭に「外部勢力が私たちをいじめ、圧迫することも決して許さない」と米国に対抗する姿勢を鮮明にした。(日経7月1日付夕刊トップ記事)

日経本紙7月2日付朝刊によると、習氏の演説の骨子は以下の通り。

・(ややゆとりのある)小康社会を全面的に建設した。貧困問題を解決した
・半分閉鎖の経済から全面的な開放へと転換し、生産能力が落後した状況から経済規模で世界2位になった
・中国の特色ある社会主義だけが中国を発展させられる
・中華民族の偉大な復興は不可逆的な歴史の歩みに入った
・世界一流の軍隊をつくり、国家の主権・安全を守る。(独自経済圏構想の)一帯一路を推進する
・覇権主義に反対する。いかなり外部勢力の圧迫も決して許さない
・香港の1国2制度や高度な自治を貫徹する。香港に対する国家安全の法律を維持する
・台湾問題を解決、祖国を完全統一するのは共産党の歴史的任務

 

習近平氏の演説を讃える朱氏(BSフジLIVE)

 

■歴史を意識した演説

 

BSフジLIVEプライムニュースは3人のゲストを招いて同式典の演説を解説した。この日は林芳正・日中友好議員連盟会長(元防衛相、元経済財政担当相)、朱建榮・東洋学園大学教授、興梠一郎・神田外語大学教授の3人だった。

・朱=習氏は天安門で7万人以上を前に演説した。これは歴史を意識した演説だ。天安門ではこれまで2つの重要なイベントがあった。1つは1949年10月1日に毛沢東国家主席(当時)が建国を宣言した。2つは1984年、当時の最高指導者・鄧小平氏が改革・開放路線を敷いた。

・朱=共産党のことでもあり、全体の7~8割は国内向け、残り2~3割は世界を意識した内容だった。

・(メーンキャスター・反町理=習氏の自分だけが人民服、これは何を意味するか)朱=毛沢東の像が人民服を着ている。毛沢東、鄧小平、習近平が中国の指導者。中国は前途洋々ではなく気を引き締める必要がある。その国を引っ張っていく意気込みを示しているのではないか。

 

習近平氏の野心家ぶりを批判する興梠氏(同)

 

■核心の最後は自分だけに

 

・(興梠さんはどう思われますか)興梠=これまでの中国共産党の大会は人民大会堂で行われてきた。共産党大会は10年ごとにやってきたが、習氏は95周年もやった。95周年は毛沢東、鄧小平、江沢民の3人は「核心」と呼んでいた。今回は毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦濤は「主要な代表」と呼ばれ、核心から外した。周氏だけが核心。みんな格下げになった。

・興梠=毛沢東は中国を立ち上がらせた。鄧小平は豊かにした。自分(習近平)は強くした。まだ続く。次の目標は世界の先頭に立つ国になる。前回党大会でそう言っている。習氏は大変な野心家だ。

・林=鄧小平と比較するとよく分かる。鄧氏は中国が人治にならないように制度を作った。これを破ったことで統治の在り方として「変わっていくのかな」。来年には新たな3期目(11~15年)に入る。2049年までやるのかは分からないとしても、習氏はこれまで何人かのリーダーの1人としてやってきたが、今後は偉大な指導者として変わろうとしてるのだと思う。

 

中国を批判しつつも穏健な林氏

 

■中国のダブルスタンダードに批判

 

・中華民族は500年以上の歴史の中で形成された輝かしい文明を持ち、中国共産党は100年の闘争と70年以上の統治経験があり、我々は積極的に人類文明の全ての有益な成果から学び、すべての有益な提案と善意の批判を歓迎する。ただ、私たちは決して「教師」のような偉そうな説教を受け入れることはできない。中国共産党と中国人民は、中国の発展していく運命を自らの手中に収め、自らの選択した道を歩む。

・中国人民は正義を重んじ、暴力を恐れない人々である。中国民族は強く、誇りと自信を持つ民族である。中国人民はこれまで他国の人民をいじめ、抑圧し、奴隷のようにしたことはない。過去にも現在にも、将来においてもありえない。

・同時に、中国の人民は、いかなる外部勢力が私たちをいじめ、抑圧し、奴隷のようにすることも決して許さない。故意に(圧力を)かけようとすれば、14億人を超える中国人民の血肉で築かれた「鋼鉄の長城」の前に打ちのめされることになるだろう。(7月2日日経朝刊要旨)

・(反町=今の中国の経済覇権や権力行使の仕方は他国の人民をいじめ、抑圧し、奴隷のようにしたことはないという表現と矛盾しているでのはないか)林=その通り。やはりダブルスタンダードだ。(反町=文句は言うけど、やっていることと違う)林=これは言われてもしようがないし、香港の現状もそうだ。

 

天安門広場を埋めた7万人超の人々

 

■人民と共産党分離に強く反発

 

・興梠=ポンペオ米前国務長官は2019年11月3日までに、ハドソン研究所での演説で、中国共産党は「国際支配」を欲しており、外国諸国を自らの側に引き込もうとする「世界的なキャンペーン」に着手したと述べ、中国人民と共産党は別だ。人民が悪いのではなく、共産党という組織が悪いと指摘したが、習近平氏はポンペオ発言に反論した。

・中国共産党は常に最も広範な人民の根本的な利益を代表し、人民と苦楽をともにして一致団結し、生死を共にし、自らのいかなる利害集団、いかなる利権団体、いかなる特権階級の利益も代表しない。

・中国共産党と国民を分割して対立させようとするいかなる企ても、絶対に思いのままにならない。9500万人以上の中国共産党員も、14億人余りの中国人民も許さない。(同)

・共産党体制は1党独裁が前提だから独裁は悪くないが、独裁を敷いた瞬間に権力が集中してしまって異論は全く受け付けない状況になる。生産手段とかあらゆるものを自由に使えるので腐敗が発生する。トロッキーはスターリンに「赤い貴族が出来上がってしまった」と言った。

・共産党体制には権力を制限する余地は全くない。プロレタリアートがブルジョアジーを打倒して勝つのは間違っていない。何が悪いのかという発想だ。特権階層化していないのならこんなことをいう必要はない。

・習指導部は胡錦濤国家主席を摘発し、江沢民主席もつぶしてきている。しかし、習氏側近は汚職摘発の対象になっていないのは確か。非常に透明性がない。基本的に毛沢東に時代から粛正というのは人の入れ替えだ。政治キャペーンだ。

 

「共産党がいい」と歌う

 

「社会主義がいい」

 

■共産党員、9500万人に増加 30歳以下は最低の13.2%

 

中国共産党は6月30日、2012年6月5日時点で、党員が9515万人になったと発表した。前回発表の19年末時点に比べると323万人増えた。30歳以下の若手党員は全体の13.2%にあたる1255万人で、比較可能な15年以降で最低となった。

1921年7月の結党時の党員は50人余りだったが、現在は香味にゃ国有企業への就職を希望する一部学生らの間で入党希望は強い。就職や昇進に有利とされるためだ。

一方で民間企業志望者や政治に無関心な若者も多く、距離を置く動きもみられる。

大卒・短大卒以上の学歴を持つ党員は全体の52%に当たる4951万人で、過去最高。

61歳以上の党員は2693万人で、全体の3割弱。職業別でみると、既に退職した党員も1912万人いる。党員は中国の人口の1割未満で、国をけん引する「エリート」と見なされているが、党の活力低下を懸念する声も出てきている。

 

 

 

 

 

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.