『スパジアムジャポン』(東久留米)単なる湯浴み客からオンライン仕事派までとにかく誰でも来て!

 

これが巨大温浴施設「スパジャポ」だ!

 

コロナ禍でワークスタイルからプレイ内容に至るまで何でもさっぱり変わったが、温泉ビジネスとて例外ではない。2019年3月5日に東京都東久留米市に新規オープンした関東最大級の規模を誇る天然温泉・岩盤浴施設「スパジアムジャポン」(通常時9時~深夜1時、年中無休)のド派手さにはあきれ、びっくりした。ここまでやるのか。

 

■無色透明の「炭酸水素塩泉」

 

天然温泉だからやはり温泉がメインだと思った。15種類の風呂とサウナが中心である。「武蔵野温泉」を名乗り、地下1500メートル下を掘削し、主に1200~1500メートルから37.8度の温泉を毎分180リットル採取しくみ上げている。

東久留米市は「名水百選」にも選ばれた地。その美しく澄んだ水脈から湧出した温泉は「清らかな天然温泉」とうたっているが、本当にそうなのかは分からない。しかし何でもかんでも理屈が欲しい業者としては「名水百選」という名前に飛びつきたいものだ。

ときどき行く和光市の極楽湯の名物は「黒湯」。練馬区と東久留米市の間も12キロほどの距離。近い。極楽湯も黒褐色で濁りのある黒湯が定番だが、武蔵野温泉は無色透明の澄んだ湯。「これまでの常識を覆す貴重な天然温泉」らしい。何でもPRするのが温泉ビジネスの常道らしい。

泉質呼称は「ナトリウム1塩化物・炭酸水素塩泉」。「美容/美肌成分」が豊富でバランスよく配合され、太古からのろ過を繰り返す際に「炭酸」を含み、爽快感や肌の角質や汚れを落とす効果も高い「奇跡の美肌温泉」をうたっている。

美肌で美容に効果的でない温泉は聞いたことがないので、1500メートルほど掘れば、カラ湯はないという。大体掘ればお湯が沸いてくる。有り難いものだ。

 

■15種類の風呂とサウナ

 

温泉は激的(高濃度炭酸泉)、開的(オープンバス)、爽的(女性用には他店にはない炭酸ヘッドスパ装備)、圧的(6つのジェット噴射と低周波電流によりsixpackを刺激するジェットバスと普通のジェット噴射による刺激で疲れをほぐすマッサージ風呂)、泡的(美泡湯)、微的(ほっと泡の壺湯)、電気浴、季的(季節の薬膳湯)、寛的(寝転び湯)、乳的(ミクロの気泡が全身を包み込みシルクのような肌触りと発生するマイナスイオンにより血行と新陳代謝を高めるシルクバス)、半身浴の15種類。

サウナは汗的(蒸気サウナ)、塩的(ミネラル塩サウナ)の2種類。蒸気サウナは珍しくないが、身体に塩を塗りマッサージすることで皮膚に刺激を与え、毛穴の中の皮脂や老廃物を流し去り、血流を促進するサウナは初めての経験だった。

水風呂は氷的(炭酸水風呂)、水的(水風呂)。サウナで発汗した後の火照った身体を、澄んだ名水百選の湧き水に高濃度炭酸を溶け込ませ、心地よくクールダウンする炭酸水温泉は良かった。

 

■岩盤浴は100床以上

 

くつろぎのスペース

 

しかしびっくりしたのは岩盤浴。岩盤浴エリアは5階とM5階を使用。関東最大規模を誇る100床を超えているという。「フォレスト バス」は床にゲルマニウムや黄土石、鳳綠石、木紋石などが配置されていて、好きな場所で横になれる。

「RED HOT ROOM」の床には岩塩が敷き詰められ、新陳代謝や血行促進に良いと言われてる。最古のパワーストーンと言われる五色瑪瑙を使用した「COLORED FOREST」やトルマリンやブラックゲルマを使用した岩盤浴もある。

 

氷が降ってくるクールダウンルーム

 

岩盤浴で汗をかいたあとは、肌を引き締めるために10度のクールダウンルームも用意されている。岩盤浴は男女混浴になり、カップルでくる楽しみもあるのではないか。

3階にはゆったり落ち着けるソファ席やゴロゴロできる畳の部屋などもあり、まったりくつろげる。テレビを見たり、おしゃべりを楽しんだり、横になったり、本気で寝てしまったり、とにかく至れり付くせりだ。

5階は岩盤浴を利用した人だけが入れる休憩エリアになっている。建物自体が吹き抜けで、開放感が半端じゃない。

正直言って岩盤浴は苦手であまり入らなかった。配偶者が探検してきて情報を教えてくれた。持つべき者は配偶者なり。

 

■漫画・雑誌3万冊品揃え

 

まるで図書館みたい・・・

 

■スマホで無料読み放題の図書館

 

この岩盤浴ラウンジには、大量の漫画(約2万冊)と雑誌(発売日に約200誌)が入荷し、約100冊のるるぶを含めると合計3万冊以上も置いてある。これらは誰でもどこでも持って行くことが可能で、圧倒的に読まれているのは漫画だった。

最近の若者は雑誌すら読まないようだ。図書館とはいえ、こうした状態を良しとすべきかどうか。温泉に来てまで固い本など読みたくないのは分かるけれど、頭を使わないと悪くなるばかり。これは止められない。

岩盤浴エリア限定ながら、これら雑誌・マンガ・るるぶは指定Wi-Fiに接続するだけで自分のスマホで自由に読めるから便利だ。身体を動かす必要がない。目を動かすだけだ。最後の人間は心臓と目だけになるのだろう。手足はなくなる。

いずれにしても岩盤浴に長く入っていても、飽きないで過ごすための店側の工夫は涙ぐましいばかり。店側の努力には称賛を送りたい。

 

■5階外には個人サウナやハンモックも

 

ハンモックに揺られながらテントも

 

楽ちん楽ちん

 

テントの中ではセルフロウリュウ

 

■名前はフィンランド式ながら、内容はドイツ式

 

セルフロウリュウ(ウィキペディアでは「ロウリュ」、フィンランド語で「蒸気」を意味する)とは、フィンランドに伝わるサウナ風呂の入浴法の1つ。蒸したサウナストーンにアロマ水をかけて水蒸気を発生させることにより、体感温度を急激に上げて発汗により毛穴に詰まった老廃物を排出するとともにシミ、しわの原因となる肌の酸化を抑える活性酸素が分泌される。

肌コンディションも整い美容デトックスを高める効果も期待できるという。給水器でアロマ水を汲み、2~3杯程度のアロマ水をひしゃくでサウナストーンにゆっくりかける。発生した蒸気を浴び、発汗を楽しむ。

気になったので空いていたテントに夕刻になって入った。アロマ水をサウナストーンに掛けたら、蒸気がものすごく発生した。あまりに熱くて外に飛び出した。これなら最初から入るべきではなかった。

それにしても日本人のパクリ精神はそんじょそこらのものではない。日本では中国人をパクリ天才と馬鹿にしているが、日本人も中国人に少しも劣らない。何でもかんでもすぐにマネするすべは見上げたものである。

私の好きな『庭の湯』(練馬区)ではドイツの入浴法「アウフグース」を取り入れている。フィンランドでは静かに入るのに対し、ドイツではスタッフがタオルなどで煽いで熱風を送るイベント風だ。

名前はフィンランド式、内容はドイツ式だ。パクって良いとこ捕りする日本式だ。日本では2000年代に入ってドイツのアウフグースを参考として大阪のサウナ施設に導入されたのが最初で普及が始まった。熱風を送る「熱波師」と称されるスタッフが配置され、タオルだけではなく、うちわを用いる場合もあるらしい。

ちなみにウィキペディアによると、ロシアでは「バニャ」と呼ばれるスチームサウナがあり、注水により水蒸気を発生させる点などはロウリュウと似ている。

日本にロウリュウサウナが導入されたのは1995年のこと。導入当初からドイツ式の内容が導入されていたという。20年以上の時を経てブームになりつつある。

 

グランピング×サウナ

 

■プライベートサウナ「グラウナ」もあるよ!

 

スパジャポはプライベートサウナも提供している。それが「GLAUNA」(グラウナ)らしい。GLAMPING×SAUNAだという。

どっと置かれた立て看によると、「100%開放された屋外で、四季折々の自然を満喫しながらアロマの蒸気サウナで汗を流し、心身ともに余暇を満喫できるプライベートサウナ」とある。

「気心しれた仲間との時間をより有意義に過ごし、日頃のストレスを解消できる、スパジャポの新アクティビティスパ」と書かれている。「新陳代謝を高め、免疫力を強めることが求められる時代に、大切な人とのリフレッシュタイムをお過ごしください」とうたっている。

隣に流しが置かれ、シンクがアロマ水が汲めるように設えてある。桶と水も置かれていた。申し込みはフロントで。平日は2000円、土日祝は3000円。

 

■風呂施設は飲食で儲かる!!

 

デザートまで付いたうなぎ御膳(1680円)をレストラン「散水草木」でいただく

 

■流行には乗っかる名古屋商法

 

スパジャポを経営しているのは愛知県内で「キャナルリゾート」、「湯吉郎」、「湯楽」のスパを運営しているZIP株式会社(東京都墨田区、大村加寿男社長、資本金1000万円)。

「がっちりマンデー」スパもサウナも!「お風呂ビジネス」!(1)(2019年11月5日)によると、名古屋からスパジャポに派遣されてきたのが清和音支配人。清氏によると、諸説あるらしいが、一説には名古屋は「スーパー銭湯」発祥の地らしい。

200軒以上も温浴施設が乱立する風呂ビジネス激戦区・名古屋。そこで3店舗の人気施設を運営するZIPが東京進出を果たしたわけだ。新型コロナ発祥目前というタイミングは悪かったが、それだけに人集めには苦労したようだ。

清支配人が強調するのは「ナゴヤ式儲かるお風呂戦略」。とにかく流行りには乗っかる!  流行りものやトレンドは積極的に取り入れピオカミルクティもある。岩盤浴ヨガは話題になた途端に取り入れたし、炭酸を混ぜ込んだ炭酸泉がブームと聞けばメインの大浴場を炭酸温泉にした。

坪湯も炭酸泉だし、水風呂まで炭酸泉なのはそんなに多くはないらしい。今流行の頭皮の汚れを落とすヘッドスパもすかさず導入。美容院でやると数千円はかかるけど、ここではただ!配偶者もこれはいいわねと言っておりました。

全ては集客のため、流行りは何でもすぐに取り入れるのがどうもナゴヤ式らしい。

とにかく飲食で儲ける!

 

3階から下を見下ろすと、真ん前にレストラン「山水草木」、左にフードコートが長く続く

 

■飲食にお金を使わせる戦略

 

3階はフードコート。ラーメンからエスニック料理、ステーキ、ハンバーグのほか、本格的な和食をいただけるレストラン「山水草木」がある。

普通の店でメニューをみてもすぐに終わるが、どうもここはそうではない。メニューが何とも多い。「ここの飲食はお金を使っていただいて」ともう完全に本音で話している。どうやらお風呂は次いでらしい。

お風呂施設は飲食で儲かる!

2019年3月にオープン以来、年内の来客数は100万人を超えそうだという噂だったが、年末のコロナ発生で大打撃を受けたに相違ない。苦しいが、負けないで!私もこういうブログをつい書きました。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.