「トゥレット症候群」を考える

 市民講演会「発達障害を考える」in神戸に参加した。9月26日(火)18-21時、神戸ポートピアホテル。副題は「チック、落ち着きのなさ、こだわりとうまくつきあうために」。NPO法人「日本トゥレット協会」と「日本イーライリリー」の共催。

 突然の、無目的で、反復的なかつ常同的な筋肉の動きをしたり、またはそのような音や声の発したりするすることをチック症状という。前者が「運動チック」(まばたき、顔しかめ、首振り、人や物に触るなど)で、後者が「音声チック」(咳払い、鼻すすり、叫び声、卑猥な言葉や不謹慎な言葉を発するなど)。両方とも単純なものから、複雑なものまでその内容は多彩だ。

 「トゥレット症候群」とは運動チックと音声チックの症状が1年以上続く神経の病気のことを指す。チック症状は自分ではコントロールできないものだけに厄介だ。1885年にこの病気を発表したフランスの神経科医ジル・ドゥ・ラ・トゥレット博士の名前にちなんで名付けられた。

 深刻なのはチック症状だけでも大変なのに、AD/HD(注意欠陥/多動性障害)を併発することだ。京大医学部付属病院精神科神経科院内講師の岡田俊氏によれば、トゥレット障害の50-75%以上にAD/HDが併存するという。ほかにも強迫性障害、気分障害、学習障害、睡眠障害なども併発するケースも多い。

 注意欠陥:「集中力が乏しい」「容易に気が散る」「話を聞かない」「すぐ忘れる」「単純ミスをする」「物事を完成できない」「考える前に行動してしまう」「何となく落ち着きがない」

 多動性障害:「しゃべりすぎる」「質問が終わる前に答える」「人の話をさえぎる」「静かに遊べない」「順番を待てない」

 トゥレット症候群の発症1000人に1人と推定され、6歳から8歳ごろに症状に気づくことが多い。10-15歳ごろにチックが最も激しさを増すが、成人期には軽減することが多いという。本人はもとより両親の苦痛も甚大で、学校、職場、家庭生活でも支障が出るのは避けられない。

 日本トゥレット協会によると、この病気の原因は従来、心因性だと考えられてきたが、最近の研究で、脳内の神経伝達物質であるドーパミンやセロトニンなどの異常によることが明らかになってきたといわれる。症状を軽くする薬は出てきており、1日も早く特効薬の登場が待たれる。

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