錦鯉文化の復活を願う

 新潟県中越地震で一躍有名になった山古志村。地震があって初めて、この地方が錦鯉の発祥の地であることを知った人は多いに違いない。私もその1人。山古志地方は錦鯉と並んで闘牛も盛んなところで、1月16日(日)午後、東京大学農学部弥生講堂一条ホールで「地域の無形文化を守るために-闘牛と錦鯉の教訓に学ぶー」と題する緊急シンポジウムが開かれた。財団法人農学会、生き物文化誌学会、ヒトと動物の関係学会の共催だ。

 パネリストの吉田俊一全日本錦鯉振興会副理事長によれば、地震による錦鯉の被害は以下の通り(昨年11月15日時点)。

 被害経営体数    122件/主要経営体は約200件
 野池被害        3625面/4472面
 被害面積        393.4ヘクタール
 錦鯉死亡尾数     1,011,502尾
 被害総額        44億1887万円
 
 錦鯉と言えば、”成金趣味”か”金持ちの道楽”くらいのイメージしかなかったが、山古志地方にとっては、錦鯉は地域のアイデンティティーを支える原点であり、文化だった。もちろん、生活を支える産業ではあるものの、地域住民にとっては「厳しい自然の中で、ただ生活するだけではなく、生活するために必要な文化」(吉田氏)の要素が強かったという。

 同じく全日本錦鯉振興会副理事長で、小千谷市闘牛振興会実行委員長を務める間野泉一氏の肩書きが示すように、錦鯉と闘牛はセット。牛の堆肥を寝かせて、それを池の錦鯉にやるからだ。コメをつくるのも野菜をつくるのも、錦鯉を飼うのも同じことだという。

 ・錦鯉の起源は江戸中期ごろ
 ・品種は80種以上
 ・世界中で”Nishikigoi”として飼育されている
 ・”泳ぐ宝石”から”泳ぐ芸術品”へ

 金魚や熱帯魚など観賞魚は数多くあるが、池と一緒に鑑賞できるのは錦鯉が唯一。今や、生産量の7割以上を輸出が占めており、とりわけ、英国ではガーデニングとの関係で人気を集めているとか。1月22日(土)、23日(日)には東京都大田区平和島の東京流通センターで第36回全日本総合錦鯉品評会が開催される。災い転じて福となす、だ。錦鯉文化の復活を期待したい。

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