拡大する不動産ファンド

 NHKスペシャル「巨大マネーが東京を狙う」(2月6日20時)を見た。このところ、Nスペはマネーづいているが、この日のテーマは日本の不動産市場。冷え込んでいた東京の不動産市場に巨大な外資系の投資マネーが流入している実態を浮き彫りにした。先週の原油市場高騰の背後にはヘッジファンドがいたが、不動産市場は不動産投資ファンドが動かしている。

 先鞭を付けたのは米系の不動産投資会社セキュアード・キャピタル・ジャパン。不良債権処理で値下がりしたオフィスビルを安値で買い、付加価値を付けてテナントを集め、それを売却するビジネスだ。同社の組成するファンドの最大の出資者はカリフォルニア州公務員退職年金基金(カルパース)だ。”行動する株主”として、市場に大きな影響力を持つ全米最大の年金基金である。

 ケネディ・ウイルソン・ジャパンは中古ビルを改築し、ビルの価値を上げる「バリューアップ」手法でビジネスを伸ばしている。土地の価格ではなく、ビルの価値が収益の源泉だ。ビルは金融商品になり、不動産の概念そのものが変わった。低金利が長期化する中で、20%近い高利回りを確保する不動産投資に資金が集まるのは不思議ではない。

 ”ハゲタカファンド”の後塵を拝する形で登場したのがJリート(国内不動産投資信託)。日本版不動産投資ファンドだ。4年前に誕生し、ようやく外資系と勢力を拮抗するようになった。番組では「パワーインベストメント」が登場する。日本の機関投資家もJリートへの投資に前向きに取り組み始めており、市場拡大は確実とか。

 日本の不動産市場は外資系、日本勢が入り乱れてビルの争奪戦を展開しているが、東京は市場参加者の増加で利回りは低下を余儀なくされ、「これからの主戦場は地方都市に移りつつある。地方にはまだ優良な物件が多い」(セキュアード・キャピタル・ジャパンのJ・Pトッピーノ社長)という。 

 大豆・トウモロコシ・小麦などの穀物、金・銀・銅などの金属、原油・天然ガス・ガソリンなどのエネルギー商品。何でも金融商品化し、市場で取引できる市場化商品にする市場経済。不動産も証券化し、金融商品になった。次は何だろう。いち早くそれを見つけ、商品化した者が巨額の利益を手にするマネーゲームは一段と加速するばかりだ。

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