国立科学博物館付属自然教育園

 目黒駅の近くには有名な「東京都庭園美術館」があるが、それを取り囲むような形で広がっているのが「国立科学博物館付属自然教育園」(東京都港区白金台5-21-5)。都心部にこんなに静寂で、自然を残したスペースがあるのかと、驚くような場所だ。

 この場所には元は今から400-500年前の中世の豪族の館があった。江戸時代には高松藩主松平頼重の下屋敷であり、その後、明治時代は陸・海軍の火薬庫、大正時代には白金御料地として歴史を重ねてきたとか。

 この間、人の手が全く入らなかった。その結果、まれにみる豊かな自然がそのまま残っている。植物の生態を知るには絶好の場所で、樹木や植物の名前を覚えるにはまたとない教育を受けられるところだ。1949年(昭和24年)に全域が天然記念物および史跡に指定されると同時に、一般公開が始まった。

 世俗的な場所も魅力的だが、こうした浮世離れした世界もまた味わい深い。アスファルトジャングルとはまた違った自然界が息づいている。昔なら、こんな世界なぞ、見向きもしなかったのに、そうでもなくなったのはやはり、抗しがたい加齢現象だろうか。

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