「8月のクリスマス」

 毎日をいかに忙しくするか。無駄な時間をどれだけ減らせるか。そんな生活をどうしたら実現できるか。それが毎日の最大のテーマだ。「Hard Work,Hard Play」-つまり「Hard Live!」が信条だ。

 スケジュール帳に目一杯、予定を詰め込む。少しでも空いた時間をなくすため、無理やりに予定を入れ込む。1つの予定がたとえキャンセルになっても、その場合、代替できる予定を考えておくのも大事だ。予定がないと不安なのである。

 仕事の予定だけでないのがせめてもの救いかもしれない。まだ現役だから、会社の仕事は放っておいても入ってくるが、プライベートの予定はそれなりの努力が必要だ。それも、それだけの時間を投入するのだから、それにふさわしい内容でなければ、満足できない。

 それゆえに、そのプライベートな予定を継続的に作り出すのもそんなに簡単なことではない。いつも、いつも、次は何をどこでどうするかを考えていなければならない。毎日が予定のことで頭が一杯だ。

 こんな生活は、「動的な生活」とでも呼ぶのだろうか。自ら動くことによって、何らかの「動き」を作り出していく。その「動き」が別の新しい「動き」を呼び起こし、それらの派生的な動きがある一定の方向性を作り上げていく。実際にそうならなくても、それが普通の流れだろう。

 「8月のクリスマス」(2005年日本映画、長崎俊一監督、飯田橋ギンレイホール)を観ながら、ここには全く別の時間が流れているのを知った。静的で、控えめで、清潔感、透明感に溢れ、それでいて暖かな世界。現実の世界とあまりにもかけ離れた、失われた風景。

 主演:山崎まさよし、関めぐみ、大倉幸二

 

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