真壁のひなまつり

「 蔵の街・真壁のひなまつり」のポスターを駅で見掛けてから気になって仕方なかった。「出会いとおもてなしを大切に、真壁の古きよき町並みの中にたくさんのお雛様を飾ります」。こうなるともう行って自分の目で確かめるしかない。 

 池袋→小山→下館までJR東北線と水戸線を乗り継ぎ、下館からは関東鉄道バス。茨城県真壁町は2005年10月、岩瀬町と大和町が合併して桜川市に変わっていた。東京から70キロ。東側に名峰・筑波山を見る北関東の町。遠かった。

 遠かったが、町並みは一見の価値ありだ。承安2年(1172年)に真壁長幹氏が真壁城を築き、以来、真壁氏は430年間、この地を治めた。戦国城下町の1つで、関ヶ原の合戦後、真壁氏に代わり真壁藩主になった浅野氏(後の赤穂藩主)が五間堀と土塁で囲まれた屋敷を築き、現在の町を完成させた。それが今もほぼそのまま残されている。

 江戸時代にはお城がなくなり、陣屋を中心とした商業地として栄える。特に大坂などから大量に買い付けた木綿を取引する市が真壁では月に7回も開かれた。多くの商人が集まったことで、木綿以外の品物も盛大に扱われ、真壁は大変な繁栄を謳歌した。

 昔の商家が店先で、お雛様を飾る「ひなまつり」の開催は03年から。ひなまつりを通して「和の文化、和む心、人の和」が広がってほしいとの願いを込めて、ひなまつりは「和の風」の名前が付けられている。4回目の今年は「和の風第四章」(06年2月4日~3月3日)。展示されているのは店舗や一般家庭など133軒。

 真壁では塚本家で飾られている江戸時代の「享保雛」が最も古いお雛様だった。左右に明治と昭和のお雛様が座っていた。こども時代、2月になると、我が家でも必ずお雛様が飾られた。かなり立派なお雛様だったことをかすかに覚えている。蔵から出されなくなって、もう随分経つ。あのお雛様はどうなったのだろうか。

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