NHKスペシャル「気候大異変」

 18日(土)、19日(日)の二夜連続で放映されたNHKスペシャル「気候大異変」は実に恐ろしい番組だった。地球温暖化の影響で世界を見舞っている異常気象が未来の予兆であることを日本のスーパーコンピューター「地球シュミレーター」が突き付けているからだ。

 その予測によると、100年後の世界は二酸化炭素の濃度が倍増し、気温が最大4.2度上昇、東京は正月に紅葉の見頃を迎える。4月は初夏を思わせる日差しが照り付け、海開きは5月、夏は二ヵ月ほど長くなり、冬らしい冬はなくなるという。

 気温の上昇は世界中で熱波による死者の増加をもたらす。2003年、ヨーロッパに3万人超の死者を出した熱波はその予兆だった。一方で、台風やハリケーンなどの熱帯低気圧は巨大化し、カトリーナ級の台風が本州を襲うことが懸念される。

 昨年、スペインと南米アマゾンを襲った数十年ぶりの大干ばつ。スペインの果樹や穀物は大幅減収を余儀なくされ、広大な熱帯雨林のアマゾンは記録的な大渇水に見舞われた。100年後、スペインの穀物生産は40%減少し、アマゾンは砂漠と化するのだ。

 温暖化は世界の食料事情や農村の風景も一変させる。リンゴの生産適地は本州から北海道に移り、コメも唯一増産できるのは北海道だけで、本州はすべて減収、日本全体で10%の減産を強いられるという。

 恐ろしいのは熱帯病のデング熱が北上し、100年後には九州南部や米国南部も感染危険地帯に入ることだ。海面上昇により土地が冠水し、今世紀末には2億6000万人にも及ぶ環境難民の発生が心配される。

 こうした事態を食い止める方法は温暖化ガスの排出を2050年に世界全体で50%削減すること。しかし、温暖化防止策に対する世界各国の利害は鋭く対立し、先のモントリオール会議の議論もまとまらなかった。

 地球の未来のため、果たしてわれわれは何をすべきか。ライフスタイルの見直しを含めて、考え直さない限り、目を覆う地球の大異変を引き受けなければならない。警告をどれだけ自分の問題として受け止められるのか。どんな行動を今すぐに取れるのか。非常に重い警告を「地球シュミレーター」は突き付けている。

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