「尼崎21世紀の森構想」

 尼崎信用金庫の氏平競重会長(尼崎商工会議所会頭)と話していたら、何度も「尼崎21世紀の森構想」なる言葉が出てきた。関西電力が撤退した発電所跡地を利用し、「森」を作るのだという。しかも、その森には松下電器がプラズマディスプレイパネル(PDP)工場を建設していると言うから、頭が混乱してしまった。

 そういう時は、自分の目で確認するに限る。尼信受付で聞いた「尼崎センタープール前駅から行ける」という言葉を頼りに阪神電鉄の同駅まで直行。駅前にある競艇場のガードマン氏に尋ねながら一路、尼崎港を目指した。

 3キロほども歩いたか。工場地帯を過ぎ、たどり着いたのが同森。ただし、ほとんど木は植わっていなかった。なぜ、それで森と言うのだろうか。分からない。ただ、遠目に「Panasonic」の看板が視野に入ってきた。まだ、大半が空き地だが、あちこちで工場を建設する槌音が聞こえている。敷地面積は1000haもあるのだという。

 松下のPDPを生産する第3工場は既に昨年稼働。第4工場の建設も決まったという。投資額が2000億円と巨額だったこともあって、大きな産業ニュースにもなった。現地は阪神高速のインターチェンジの側で、アクセスは申し分なし。

 ここを新しい尼崎の産業拠点にするのが市と県の描く構想のようだ。松下のPDP工場はその中核である。同工場の近くに、スポーツ健康増進施設「尼崎スポーツ森」が先ごろ完成。今秋の「ひょうご国体」の水泳競技はここで開催されるとか。

 あまりに広過ぎたのと、アポを取っていなかったのでPDP工場敷地内での立ち入りを拒否されたため、タクシーで(バスの運行はまだ)次の目的地「尼崎市役所」に向かった。市役所の掲示板の市報「あまがさき」5月15日を読んでいると、「尼崎21世紀の森構想」の紹介記事が載っていた。

 「国道43号以南の約1000haを対象として、臨海地域を魅力と活力のあるエリアに再生するため、環境共生型のまちづくりを進めているもの」(平成14年3月策定)」。

 かつて、”きたない街”と言われてきた尼崎市は今や空気もきれいになり、川に鯉が泳ぐようになるなど、随分変わってきている。イメージはまだまだ決して良くないが、生まれ変わろうとの努力は続いている。「21世紀の森構想」はイメージ一掃に向けた試みの一環のようだ。

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