坂越旅情

 できることならば、御崎から坂越(さこし)まで海岸沿いを歩きたかった。潮風を身体に受けて歩くほど気持ちのいいことはない。しかし、温泉に入ったあとではそんな気分も萎えて当然だろう。身体が言うことを効かない。

 何とかんぽのお宿から赤穂市までバスがあった。最初から知っていれば、歩かなかったかもしれないが、後の祭り。JR播州赤穂駅まで今度はバスで引き返し、1駅戻ると坂越。駅前は何もない。町が開けているのは坂越湾沿い。そこまでまた20分ほど歩かなければならなかった。もう、歩くしかない。

 泰河勝を祀る大避神社を中心とした坂越湾は波も静か。目前に天然記念物の生島樹林が広がっていた。大避神社では前日、瀬戸内3大船祭りの1つとして「船渡御」が行われたばかり。ところどころに幟が立っており、祭りの余韻が漂っているものの、びっくりするほどの静けさだ。こんなところもあるもんだ。


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