兵庫県・大阪府の境を歩く

兵庫県のことを一番一所懸命考えているのは県知事だろうが、行政的にはともかく、地域住民にとっては、今や人為的な県域はあまり意味がないのではないか。広域社会の到来で、県域を越えた行き来が日常的だからだ。

 さはさりながら、兵庫県に転勤してきて8カ月。あまり意味がないとはいえ、自分の守備範囲はやはりしっかり知っておきたい。特に兵庫県は北は日本海岸岸から南は瀬戸内海、東西も阪神間から赤穂までととてつもなく広い。都会と田舎も混在し、何でもあるところだ。

 取りあえず、前から気になっていた大阪府との府県境がどうなっているのか知りたくて、13日午後、空は晴れていたものの風の冷たい中、境界を歩いた。阪神本線・大物駅(だいもつ)から2号線を東に向かってぶつかったのが左門橋。流れるのは左門殿川。下流は大阪湾に注ぐ中島川。

 左門橋の途中に「←尼崎東署・西淀川署→」とのプレート。川の真中が府県境という意味だ。橋を渡ったところの佃地区は大阪府大阪市西淀川区。手前は兵庫県尼崎市。また橋を戻って、兵庫県側の河岸に沿って北に歩く。塩野義製薬の工場辺りから左門殿川は神崎川と合流する。

 とにかく北上。JR神戸線、山陽新幹線、さらには阪急神戸線の下を通過した。関西ペイントの工場辺りからは猪名川となる。その猪名川に沿って歩いていくとぶつかるのが園田競馬場。兵庫県営である。猪名川はその辺で左に大きく曲がり、目前に大阪国際空港(伊丹空港)が広がる。着陸する滑走路の東側は大阪府豊中市、ターミナルビルがある場所は兵庫県伊丹市のようだ。もうすっかり夜の帳が下りて、何も見えなかった。

 園田競馬場の正面に回り、そこから阪急園田駅に向かう途中、あまりの寒さに耐えかねて飛び込んだのがお寿し処「かも川」(椎堂1-2-2)。熱燗のうまかったこと。ご主人と奥さんから12年前の阪神・淡路大震災の思い出話を聞きながら空腹を満たした。これも”旅”の楽しみか。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.