米先物市場に「CMEグループ」誕生

 米の2大先物取引所であるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)とシカゴ商品取引所(CBOT)が合併し、「CMEグループ」が誕生することが最終的に決まった。CMEは金融先物、CBOTは穀物先物を強みとして並存してきたが、世界的な取引所再編の動きの中で統合することとなった。

 どちらも米国市場の発展の源泉ともいうべき存在だっただけに、米国型市場主義の変化を象徴するものとして感慨深いが、これも世の中の流れかもしれない。買収額は約119億ドル(約1兆4600億円)。

 CMEが昨年10月に80億ドルで買収を提案。CBOTも同意したものの、今年3月、電子取引専門の米インターコンチネンタル取引所(ICE)が99億ドルの敵対的買収を提案し、CBOTをめぐって買収合戦が展開されていた。

 日本でも先物取引所の統合が議論されて久しい。米国の取引所では商品先物も金融先物もどちらも取引することが認められているが、日本では商品先物は商品先物、金融先物は金融先物を取引する取引所が分かれている。

 商品先物でも石油などの工業品を扱う東京工業品取引所と農産物を扱う東京穀物商品取引所に分かれ、金融先物も通貨先物や金利先物を上場している東京金融先物取引所と株価や債券先物を取引する東京証券取引所や大阪証券取引所が混在する。

 CMEグループは東証、金先取、東工取、東穀取などを合体したような取引所で、現物は扱わないが、先物のデパート。日本政府は6月の「経済財政改革の基本方針」(骨太の方針)で、取引所の上場商品の多様化を明記した。

 日本政府が描いているのはシンガポール取引所(SGX)のような総合取引所で、先ごろSGXを視察した山本金融相は東証の総合化に意欲を示した。ただ、各取引所の所管官庁が分かれている上、根拠法もばらばらで、統合化には法改正が必要だ。

 日本も改革に無関心ではないとしても、改革へのスピード感は極めて鈍い。少なくても先物取引所の改革においてはそうだ。先物取引自体に対するアレルギーは依然残っており、それが改革の足を引っ張っているのも事実だ。

 こうした日本の国内事情をよそに、海外での改革のスピードは上がる一方だ。日本経済にとってはデメリットだと思うが、国民にその意識がない限り、仕様がない。自分が不利益を被っていることを認識していない限り、いくらその点を指摘しても無駄だろう。

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