デリバティブ
日本国内でもデリバティブ(金融派生商品)取引が拡大しているようだ。常に付きまとうリスクを軽減するために考案された金融取引で、市場経済が進展し、世界的に先行き不透明感が高まる中で、リスク軽減に動くのは適切な回避行動だ。
有名なのが天候デリバティブ。一定の気象条件、気温、湿度、降雨量、降雪量、霜、風速、台風などを基準として、事前の取り決めの数値を上回れば(下回れば)、自動的に補償額が支払われる仕組み。損害保険と異なり損害の有無は問われない。
1997年にアメリカで開発され、日本では1999年に三井海上火災保険などで取り扱いが始まった。例えば気温が高いと需要が増える産業(プール、冷菓など)と、需要が減る産業(衣料)を組み合わせることにより互いにリスクを交換することで成り立つ。
天候デリバティブ以外に、地震デリバティブや原油デリバティブなどいろんな形のデリバティブ取引が生まれている。リスクがある限り、どんなものでも取引が成立すれば、商品化が可能だ。需要があれば、供給しようとする業者も出てくる。
リスクをなくしてしまうことは不可能なのだから、対策はリスクをいかに軽減するか。リスクを商売にするのは心苦しいが、この傾向は加速することこそあれ、減ることはないだろう。いやはや大変な時代になったものだ。