米下院、石油会社増税法案可決

 米議会で包括的なエネルギー法案の審議が加速している。野党・民主党主導の下院でブッシュ政権に厳しい内容の法案が可決される一方、上院は既に異なった法案を通過させており、夏休み後の9月には両院協議会で調整されることになるが、両院とも温暖化対策を強化する方向に向かっており、エネルギー業界擁護の立場のブッシュ政権はエネルギー政策でも追い込まれた格好だ。

 下院が4日に可決したのは①ガソリン価格の高騰で収益が拡大している石油会社の優遇税制を撤廃し、今後10年間で160億ドル(約1兆9000億円)の増税を課す②2020年までに発電会社に最低15%を再生エネルギーで発電することを義務づけ、達成できない場合は罰金を科す-などの条項を盛り込んだ包括法案。

 一方、上院は6月に、自動車の燃費規制を盛り込んだ法案を可決した。上下両院の法案の内容が異なる場合、両院協議会で調整を図ることになっており、今後、その作業が行われる。ただ一本化されても、ブッシュ大統領は石油会社に対する課税強化には反対の立場を表明しており、法案には拒否権を発動する見通しだ。

 米政府は9月下旬に先進諸国や中国、インドなどを集めた温暖化対策会議を主催することになっている。温暖化対策をまとめた京都議定書の批准を拒否している米主催会議の実効性には疑問が感じられるが、米議会の動きはブッシュ政権にとって大きな圧力になるのは確実だ。

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