NYMEX、身売り説を確認=相手はNYSEユーロネクストか

 世界最大のエネルギー取引所であるニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)を保有するNYMEXホールディングス社は21日、他の取引所との合併に向けた予備的な協議を行っているとの声明を発表した。

 気になる交渉相手については明らかにしていないが、市場ではニューヨーク証券取引所と欧州の証券取引所を運営するNYSEユーロネクストに身売りするとの観測が流れていた。ほかにもCMEグループやドイツ取引所などの名前が上がっているが、NYSEユーロネクストとの合併説が最有力。NYSEユーロネクストのジョン・タインCEOは米国内における基盤強化のため買収を検討している考えを表明している。

 NYMEXは、統合による費用削減効果が年間で最高2億5000万ドルに上ると見込んでいるほか、取引所ビルを売却した場合は約5億ドルの売却益を得られるとみている。また経費削減計画の一環として職員の3割に相当する150人を解雇する可能性を示唆している。

 世界の取引所業界では再編の動きが加速している。NYSEグループが4月にドイツ、ロンドンなどを除く欧州の証券取引所を運営するユーロネクストを146億ドルで買収したほか、ドイツ取引所もニューヨークに拠点を置く国際証券取引所を28億ドルで取得することで合意。7月にはCMEがCBOTを買収、世界最大のCMEグループが誕生した。

 NYMEXは原油相場の世界標準になっているWTIを上場している世界最大のエネルギー取引所だが、投資家の間にはエネルギーだけでなく、金融商品や農産物なども含めた総合取引所を求める声が強い。CMEグループの誕生の背景にもそれがある。

 また、取引手法が電子化する中で、NYMEXは依然、手振り主体の取引に固執してきた。NYMEX商品をCMEグループの電子取引システム「グローベックス」に乗せることを決めたことを受けて、第2四半期の出来高は前年同期比52%も減少した。

 エネルギー取引では世界最強の取引所として存在感を示してきたNYMEXだったが、総合市場化、電子取引化の加速する市場の波に取り残された格好だ。最終決着がどう付くのか現段階では分からないが、”恐竜”の最後が迫っているように思える。

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