BABEL

 「BABEL」(バベル)は不思議な映画だった。2006年カンヌ国際映画祭最優秀監督賞、同ゴールデングローブ賞最優秀作品賞、第79回アカデミー賞最優秀作曲賞などを受賞した作品。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリツゥ監督(メキシコ)。2006年、アメリカ映画。

・始まりは、モロッコの少年が放った一発の銃弾だった
・撃たれたのは、見失った絆を探しにモロッコ観光に来ていたアメリカ人夫婦(ブラッド・ピットとケイト・ブランシェット)の妻だった
・アメリカに残された夫婦の2人の子供たちはメキシコ人乳母(アドリアナ・バラッザ)の故郷メキシコに連れて行かれ、不都合な目に遭う
・アメリカ人妻の命を危機に陥れたライフルの書類上の保有者は日本人会社員(役所広司)。妻が自殺し、聾唖の高校生の娘(菊池凛子)からは何かにつけ反抗されていた

 血を流すモロッコ、暴走するメキシコ、怒りのアメリカ、傷だらけの日本と舞台は展開する。言葉は通じず、心も通じない。想いはどこにも届かない。かくて、世界はバラバラになってしまった。

 ただ、最後にはアメリカ人夫婦や日本人父娘は絆を取り戻し、メキシコ人乳母も国外追放され、息子の元に戻る。モロッコ人兄弟は兄を失いながらも、最後は警察に投降する。人肌の温もりと優しさを回復する。分かり合おう、ひとつになろうともがき始めた世界に希望を託している。このエンディングに救われた。 

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