『ブラジルの土に生きて』

 『ブラジルの土に生きて』はJICA兵庫映画鑑賞会(第5回)で観た作品。ミナスジェライス州の山峡の牧場に暮らす明治生まれのブラジル移民、石井延兼・敏子夫妻の晩年の生活を4年間にわたって見つめた映像作家、岡村淳監督のドキュメンタリー作品だ。監督自身も移民で、移民が移民を撮ったところがユニークでもある。

 心臓を患い、死期の迫るのを覚悟した夫は、過去の思い出に耽り、いかに死ぬかに拘り続ける。これに対し、夫の看病と農場の台所を預かる老妻は、農場の粘土を使って陶芸も始め、いかに生きるかに拘り続ける。実に対照的な2人だ。男と女の差なのか?

 第1回契約移民781人を乗せた笠戸丸が神戸港を出航したのはちょうど100年前の4月28日。52日間の航海を経た笠戸丸がサントス港に着いたのは6月18日だった。「今日は電車で大阪から神戸に来たが、笠戸丸の移民が最後に見た山並みが六甲の山並みだったことを思うと、目頭が熱くなった」(岡村監督)。

 岡村監督は自分の作品は観るために人に集まってもらい、そこで上映する形を取っているという。「観るために人が集まるというのは、人類にとって初源的な集いだ」と語る。「移民は何かを求めて移動するのか、あるいは何かから逃げるために移動しているのかのどちらかではないか。自分の作品が人が移動するということを考えるきっかけになるのではないか、と思っている」と話していた。

①上映会会場の外で試飲・販売されたブラジル産プレミアム・コーヒー


②JICA食堂で食べたブラジル料理

・フェジョン(豆シチュー、 ブラジルの国民的料理)
・パステルデカルネ(ブラジル風ジャンボ揚げ餃子)
・パルミットサラダ(椰子の新芽のサラダ)

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